それは小6後期、各教科の仕上げに入ってゆく時期のことでした。
算数男子の息子は、思考力講座やTKコースの演習で、日々修行僧のように黙々と問題を解いておりました。
穏やかな秋の日のように安定した成績を収めていた息子。
このまま、入試本番を迎えられたら……と、母の私は願っておりました。
ところが、です。
ある日、オープンではないサピ内のテストで、息子は盛大にかっ飛ばしてくれたのです。
小問集合全滅を…………
息子が自己採点した用紙を見て、私は思わず笑ってしまいました。
(そして「笑ったらダメ!」と彼に叱られました。その通りです。ごめんなさい……。)
実はこの小問集合を落とすパターン、息子にはあるあるで、原因は大体いつも同じでした。
算数基礎力トレーニングのすっぽかしです。
息子は、算数については親の手を借りずに自走していて、そのこと自体は良かったのですが、土特やSS、過去問や平常テキストを優先させるうちに、基礎トレが隅に隅にと追いやられ。
気付けば、本当に学習机の脇に落ちていることもありました。
サピでは、基礎トレの大切さを繰り返し説明されるので、息子も頭ではそれを理解していたはずですが、たまたま計算ミスをせずに良い成績が続くと、つい油断するのですよね。
基礎トレの効果としてはまず、計算ミスが減ることが挙げられます。
そして計算スピードが上がるので、難問に割ける時間が増え、検算の時間が増えます。
入試当日、サピでは基礎トレを済ませて出掛けることが推奨されており、頭のウォーミングアップにも役立ちます。
また、通塾初期には、学習習慣を作る上でも非常に有効な教材だと思います。
なお、件のテストのあと、算数の授業があった日に、帰宅した息子がにこやかに言いました。
「今日、算数のA先生とB先生が次々に声を掛けてくれたよ。
『大丈夫だから! 大丈夫だから!!』って励ましてくれた」
「そっかあ。良かったね。サピの先生、優しいよね」
全滅を見て、先生もびっくりなさったのだと思います。
そして、お忙しい中、どの子がどの問題を落としたか、一人一人チェックしてくださっているのを知り、先生方の丁寧なお仕事ぶりと子どもたちへの愛情に、胸が温かくなりました。