車内販売考 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

2010年代に入って元々衰退し続けていたJR列車の車内販売だが、さらにJR各社(のグループ会社の車内販売事業者)は今春バッサリやる事になった。在来線は元々営業していない列車が圧倒的多数だが全滅秒読み状態に近づいた。そして、新幹線までも。こだまのような各停タイプは在来線特急のような短時間利用がメインで元々ないのが既に当然だったが、速達タイプも縮小し、JR北海道や九州は新幹線の全列車で営業廃止に。新幹線は長時間乗るし、飛行機との競争上速達タイプではどの会社も車販サービスは失くせないと思ってたので驚いた。新幹線と飛行機を比較して乗る場合も、ビジネス利用などならレガシーキャリアと比較してどっちに乗るかを決めるので、会社ごとの都合はあるだろうが新幹線はサービスが悪くなったとしか思われないだろう。(LCCも機内販売自体はあるのでそれよりも供食サービスが見劣りするということに…。)在来線と違って新幹線は1列車あたりの定員が大きく、本数も多いので車販の商機も多いし、その会社の目玉商品、その地域の誇りとなる最優等列車なので看板列車らしいサービス水準を意地でも守ってほしかったのだが。

 

在来線は、もともと短時間の利用が多いし、新幹線より乗客が少ないし、(1列車あたりの定員も格段に少ないので車販の商機も元々うすい)新幹線よりもカネ払いのよくない客ばっかりのっているので新幹線と比べて車販の衰退はやむを得ない。観光に特化した特急でない、都市間輸送を運転の主目的にした在来線特急の車販をまっさきにバッサリ行った会社はJR九州とJR東海だが、九州などはまさしく2枚きっぷ・4枚きっぷを金券屋で買い高速バスと比べてどちらにがお得で乗るべきかを決める客層が多いと、やはりコンビニやスーパーより高い弁当を売るのに無理があったという事だろう。しかし、近鉄特急も賢島行きのリゾート特急と違い、名阪特急はまる得きっぷや株優などを駆使して高速バスと安さを比べて乗る客層ばかりの列車なのに土日祝日の日中限定でだが車販を一旦廃止してからわざわざ復活して今も継続していると考えると(参考:https://www.kintetsu.jp/news/files/urban20070810.pdf) やはりJRや車販会社の車販への力の入れようの違いがあるのではと言わざるを得ない。

 

私鉄がまだ特急での車販を残しているのに比べると、JRでは在来線特急ではほぼ店じまいにちかい状態、新幹線でも衰退の傾向にある。ただそれでも、JR九州が都市間列車で全敗してもD&S列車では継続するように、一部の観光列車、特に事前予約制のグルメ列車では残ってJR各社としてはそれでいいという考えだろうが、アトラクションのような観光列車だけは車販などのサービスが残っても、もっと幅広い客層に利用される大衆的な親しみやすい都市間優等・新幹線列車に昔からの映画館のポップコーンなみに「お約束」的存在だった車販がろくになく、普段使いの鉄道利用者にとって高級なサービスである新幹線グリーン車でさえもろくなおしぼり配布などのシートサービスもない現状は大多数の鉄道利用者には夢が持てない時代だなと思うし、JR各社も富裕層向けに特化したクルーズトレインや乗車時間や距離のわりにやたら高い事前予約制のスイーツ列車のような大衆的な優等列車に夢や憧れを持たせることに関心を持たなくなった野だなとつくづく思う。