RMライブラリー『名古屋市電』 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

先月完結したが、3巻とも読みごたえがあった。
自分はもちろん市電をリアルタイムで知らないが、父に実家の近所にはかつて電停と車庫があったことを聞かされて育ったので興味はある。しかしそれを伝える本は乏しかったので今回の発刊は筆者・父ともども懐かしい気持ちになれた。ちなみに車庫は跡地が団地になり、面影がないがある所に市電時代を伝える物が残っていたり・・。

後知恵でいまさら市電の廃止をあれこれ言うのはやめておこう。名古屋ほどの規模で地下鉄・バスに加え市電まで交通局の直営で持つというのは大変だから、いったん廃止にせざるはえなかっただろう。しかし、自分が高校生の頃通学で使った市バス路線は旧市電に近いルートで、ラッシュ時は押すな押すなの混雑になっていて、しかも車が幅寄せや急ブレーキをするため急発進・停車のたびに体がよろける思いをした自分には輸送力や乗り心地ではやっぱりここに電車があれば…。という思いを禁じ得ないのも確かと言おう。全国的に市電をバスに転換した理由は急こう配に弱いというのもある。クルマ社会化が進み立体交差や跨線橋が増えたら電車では登りきれないだろうと。しかし、名古屋市電はかなり減速するとはいえ最大54%の勾配を当たり前に乗り降りしていた(『名古屋市電(上)』32頁)を考えると一概に鉄軌道が不利とはならないし、我が国はつの連接電車、「無音電車」の導入など車両面でも意欲的な取り組みをしていたようだ。

車両面での発見は、無音電車2000型の制動ハンドルのノッチ操作に特徴があったこと。(『中』18頁)また年が明けたらレトロでんしゃ館や市営交通資料センターで昔のことをもっと勉強したい、と思わせるだけの内容だった。