12時前。五観堂で昼食を頂きます

 

雨も上がり陽がさしてきたので

お庭をのぞむ外のお席にしました。

これらのマニュアルを渡され

よろしければご説明しますと言われます

是非是非ご説明を聞きましょう!

 

マニュアルが少々複雑なのもありますが

説明をして下さるお店の方も

禅の修養をされているかたなので

とてもありがたいお話を伺うことができます

 

さて神勝寺の本山である建仁寺の僧堂では

「四九日(しくにち)」と称して四と九のつく日の齋座(昼食)

に湯だめうどんの形で食べます。
また年に何度か信者さん等からの寄進による「うどん供養」

という日にも同じような形でうどんを食べます

 

四九日の午前中には平生以上に丁寧な掃除を行い、

剃髪をし風呂に入ることが許されています。

雲水にとって一番のご馳走はうどんで、

禅僧にとって僧堂のうどんは懐かしく忘れられないものです。

なぜなら、僧堂での食作法は読経と鳴らしもの以外の一切の音はご法度ですが、

うどんを食べる時だけは豪快な音を立てて食べなくてはならないのです。

 

四九日にうどんを食べる由来について明確な説がないのですが、

京都の臨済宗大本山東福寺開山 円爾弁円(聖一国師・1202年~1280年)が

1241年に中国から製粉の技術を持ち帰ったことから、

臨済宗とうどんは切っても切れない縁で

つながっていることが一つの要因かもしれません。

雲水の食事は「持鉢(じはつ)」と呼ばれる五枚組の器を使って三度の食事を頂きます。 

 

五観堂のうどんを食べる時は三枚。

重ねて置かれる持鉢の並べ方も丁寧に説明して下さいます

 

使い方は、器の大きいものを左から順に並べ、

一番大きい器:うどん出汁(平生はおかゆ又は麦飯)
二番目の器:おかず(平生は味噌汁)
三番目の器:沢庵(平生はおかずと沢庵)

に入れていただきます。


箸も「雲水箸」という修行僧が使うもの

長く、手で持つ部分が非常に太くできています。


食事をいただく前に必ずお経を読みます。

お経を読むときの合図の柝(拍子木)がない場合、

この箸を打ち鳴らすのです。

私も勧められて鳴らしてみました。


食事の前に読むお経は、般若心経などがあります

その1つが「食事五観之偈」という偈文があります

この偈文にちなんでここを「五観堂」といいます

 

一つには功の多少を計り彼の来処を量る。
二つには己が徳行の全欠を [と] 忖って供に応ず。
三つには心を防ぎ過貪等を離るるを宗とす。
四つには正に良薬を事とすることは形枯を療ぜんが為なり。
五つには道業を成ぜんが為にまさにこの食を受くべし。

 

メニューは

前菜:こんにゃくと高野豆腐と切り干し大根(人参、椎茸入)の煮しめ

うどん(薬味:生姜、葱、胡麻、おろし大根)
ごはん、沢庵

お茶(うどんのつゆが濃いときはお茶で薄めます。)

 

前菜を頂きながらうどんを待ちます

うどんが太いのでゆでるのに時間がかかるそうです

この前菜もとても美味しいのです

おそらく動物性の出汁は使用していないでしょうが

滋味溢れる清々しいお味でした

 

うどんはとても太いので、一本ずつ頂いて

お腹いっぱいになりました

うどんも塩味が効いていてとても

美味しかったです

 

最後にごはんがきます

うどんつゆの残りにいれて

濃ければお茶で薄めて雑炊のように頂きます。

 

最後にすべての持鉢をお茶と沢庵で洗い

洗ったつゆまで頂きます

 

昔の修行僧にとって、水も食料も

極めて貴重なものであったからだそうです

 

ひとくちひとくちを大事に味わうことで

素材達がどこで生まれて育ち

どのような人々の手を経て

ここに至り、己の命の一部となるのかを

感じ取ることができるのだと

和尚様がおっしゃっていました、と

お話してくださいました

 

また食べたいな~と思うほどに

美味しかったのです


神勝寺 一日禅体験レポート その⑥へつづく