<制限因子>
1)烏口上腕靭帯
・厚く肥厚、瘢痕化し、柔軟性の乏しい状態
2)腱板疎部
・瘢痕化し、強固な制限因子となる。
①+IGHLC(下関節上腕靭帯複合体)の肥厚
②+烏口上腕靭帯の瘢痕化
3)関節包
・腱板疎部周辺の線維膜の線維化、瘢痕化が著しい
・関節包の下部(腋窩陥凹)の拘縮が著しい
4)滑液包
・肩峰下滑液包、三角筋下滑液包、烏口下滑液包の癒着
・肩甲下滑液包の閉塞により、肩甲骨下滑液包と関節包間で関節液が往来できなくなり、関節内圧が上昇し痛みが生じる
<凍結肩に対する理学療法の新展開(2012-立花)>
・瘢痕化した組織が瘢痕組織のまま伸張性を回復することは考えにくく、長い時間をかけてリモデリングのような現象が起こるのではないか。
・瘢痕化が強く起こっているということは、炎症反応の収束が遅延した結果。
・炎症反応をスムーズに経過させ、かつ二次性拘縮を最小限に抑えるには、急性期には無理をさせない。
・急性期が過ぎたら痛みを出さない範囲でのストレッチを行うという程度の共通認識しかない。
<経過>
・積極的治療を行うことで、9割が約5~6ヶ月で改善(2008-緑川)。
・治療の有無に関係なく、2年ほどで回復し予後は良好(1934-Codman、1978-Grey)。
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急性期の炎症症状を早く脱して、強い瘢痕化を起こさせないことが難治性の拘縮肩をつくらないために重要のようです。
炎初期は、いじくりまわさず、病態を認識してもらい、痛みやADLを管理することが必要になりそうです。
引用/参考文献
立花孝:肩関節に対する理学療法の新展開、理学療法学39(8)、2012
緑川孝二:中高年の肩の疼痛予防のための運動について、臨床スポーツ医学25(9)、2008.
林典雄:関節拘縮の機能解剖学的特性、理学療法21(2)、2004.
高濱照:運動器の機能解剖、理学療法21(5)、2004.
拘縮を主体とする障害に対する理学療法、Med Reha 17、2002.