昨晩の米株は、材料入り乱れて荒い値動き。ボーイングの決算が予想を上回った事が好感され、中古住宅販売が低水準で警戒感が広がり、原油先物が上昇した事でエネルギー株が買われ、地区連銀経済報告で安心感が広がり、とサブプライム問題を警戒しながら慌しく上下しましたが、最終的にはプラスで取引終了。
個人的に気になるのはやはり、サブプライム問題の拡大。大型のM&Aに必要な資金調達に対する影響が表面化して来ている事。北米クライスラー部門売却をめぐり必要な、120億ドルのシンジケートローンを銀行が延期せざるをえなくなったとの報道がありました。また、リスク回避の動きが強まるなか、債権価格の下落があり、企業の資金調達にも影響が出ているという。
国内では初めてサブプライムにかかわる損失額を公表した野村HD(8604)は、現状700億超の損失を確定しているようですが、6月末時点で711億円の持ち高がある上に撤退も視野に入れているという。野村HD自身は、サブプライムにかかわる損失を大きく上回る利益を投信の好調で上げており、今日は大きく買われましたが、投信の好調がいつまでも続くのか?という事が今後のリスク。サブプライムに絡む損失も、撤退までにまだ拡大する可能性がある。
国内では、野村HD以外はサブプライムローンに絡む損失額を公表していませんが、裏では撤退の動きがあると思われる。リスク回避の動きは、米国内外で進行中であり、資金の流動性に対する懸念は高まっている。
今日の日経平均は、シカゴの先物が17795円と大証終値比65円安く返って来た事から安く始まりましたが、外需株を中心に好決算も目立ち、底硬いスタート。後場寄り後プラス圏まで戻す場面もありましたが、13:00あたりからズルズル下げる展開。下げ幅を拡大するにしたがって先物の売りが膨らみ156円安い17702円で今日の取引を終えました。前引け後に発表された海運株の決算が上方修正であった事などからも、大引けにかけての一方的な下げの動きは多少不可解。
個別には、前引け後に決算発表があった、郵船(9101)、川崎汽船(9107)は、後場寄りが今日の高値。海運株は寄り付きから高く推移していましたが、終値ではマイナス引けが目立つ。鉄鋼、総合商社、原発関連なども軒並み下げた。強かったのは任天堂(7974)。なんと、売買代金一位でストップ高。今日の終値61800円。サブプライムがらみの損失に対する懸念から下げていた野村HDは大幅反発。目立った上昇はその程度。
円安メリットなどを背景に外需株の決算発表は期待通りいいものが目立っているが、今日の値動きは、個別の材料を市場全体のリスクがいよいよ飲み込もうとしている兆候である可能性がある。
今日のザラ場は120円台半ばで推移していたドル円もこのブログを書いている21:30現在再び1ドル120円を割れる動き。決算発表を期に為替の想定レートを円安方向に修整している企業が目立つ事にも注意。
今晩の米株市場は、米6月耐久財受注と米6月新築住宅販売に注目。