私の男友達史上、最大に不器用で偏屈なAB型の紳士は

今、難しいお仕事に取り組んでいてなかなか会うことが叶わない


そんな時ならきっと私のことなど忘れ

と、言うか

女なんて面倒くさいだけだ。とか言って

距離を置くに違いない


そう思っていたのだけど

大きな仕事をやり終えるという前夜

ふらりと現れた


「忙しいんじゃないの?」と言う私に

「だから余計に会いたくなった」などと言う


そんなこと普段言う人じゃないのに


これだから本当にAB型は嫌だ

女の気持ちなんて、考えない


会いたいから思い付くまま会いに来たものの

実際には時間のない彼は

食事もせずにまた戻る


「何しに来たの」と思いはするが

そんな野暮は口には出さない


すると帰り際

「アイシテル」なんて言って

若い男の子みたいに路上で私を抱き締めた


ああ

重要な仕事を控えて

きっとこの人テンション上がっているんだ

だから

普段は言わないこと言っちゃったり、しちゃったりしてるんだ

そう思った


だけど

自覚あるのか分からないけど

少しだけ、怖いんだ

だから女の力が欲しいんだ


それが分かるから

その大きな背を撫でる

「頑張ってね」そう言う

「良いお話、今度聞かせてね」


私を仕事に利用するとは太ぇ野郎だが

必要としてくれるなら有難いことだ




でも

その「アイシテル」には

大して意味がないのも知ってるよ



ようは

女を抱き締める勢いを付ける為の

号令みたいなモンだ



シャイな人、だから




嵐のように帰って行ったAB型紳士を見送り




今度はO型50代の紳士からの電話を受ければ


「声がいつもより色っぽいねぇ。何かあった?」

などと見透かされる


「号令みたいなアイシテルを言われた」

と言えば


「何だよ、それ」

と笑われた



情熱的なO型には分かるまい


だけど

彼は女心を読める百戦錬磨だから


私の胸の内を読んでしまうのだ


「その号令みたいな言葉の奥が読めるほど、お前だって大人な癖に」



ああ、嫌だ


奥を読むとか

そんなことしなくて良い

分かり易い恋愛がしたい



「ストレートも変化球も、どっちもお前に投げ込まれてることに変わりはないんだぜ?」


O型男性は、ちょっとムカつくな

言葉は公平だけど

今、軽くAB型の彼より自分の方が力あるみたいなニュアンス使ったろ??




まぁ、いい


有難いことだ







私はモテて困っちゃう!という記事を書いている訳では、ない



今夜話した紳士のどちらも



妻子があるから




しいて言うなら




そのどちらとも結婚はしたくない!!