闇の中にいるのは君か、君の書く「君」か?


多くを語るつもりはない


谷山浩子を聞いてこい





優秀な小説を読むことの楽しみのひとつは


「比喩」であったりする

つまりは私の大好きな言葉遊び


「いとしいこころ石の恋人

抱き締めるとぎこちない」


「いやがるあなたのその指が絵筆を握れば

ほらたちまちぬりつぶしてる

あなたの胸の中を」

しかも赤い絵の具でね


「快楽の棘」?

「私の中の星」?


いいね


考えようには幾つでも

こちらでストーリーを作り出せる



想像する喜びを

もっと私に!


そんな作者に、私もなりたいモンだ



何だか分からないけど連想出来る、その感じ

考えているのでは、ない

感じているのだ


「僕の心臓をもう君は忘れられない」なんて

「口に入れてご覧」なんて


「夢の大洪水」だ




「僕の」ときたら

安っぽく簡単なカスワードも好きよ


「僕のバットを握って・・・」

「言わせねぇよ!」ってやつ


それから今日TVで

「ちょっとお兄さん、私の馬糞ウニに触ってみない?」

ってフレーズも聞いた

札幌の女性だね、これ


いいね

そういうの、好き





だけど

チンケな夢作者だけど私


願わくば、切ないセリフを提供したいものよね



それでは

兄さんに、ひとつ





もしもたったひとつ願い事が叶うなら

私は何を願う

あなたの恋人になりたいと願う


恋人になって痴態をさらして嫌われる

それじゃぁ、あんまりだから


やっぱり私は

あなたのサングラスになりたいと願う

お気に入りのサングラスはどこでもあなたと一緒


だけど、あなたが恋しく見詰める相手もまた

私を通して見ることになる

それじゃぁ、あんまりだから


やっぱり私は

あなたのバイクになりたいと願う

ガソリンはいらない

疲れ知らずのエコバイク

あなたを乗せ、どこまでも走る


だけど私の燃料は、あなたの愛情

燃料メーターには気を付けて

そろそろなくなってきてるわ


雨の日でも、いつまででも待つし

急な路線変更も見事でしょ?

あなたの望みのまま、どこへでも運ぶから


あなたが電車でデートに行く時も

我儘言わずに駐車場でおとなしくしてるから


だから

燃料だけは忘れないで


いつも満タンにしておいてね


じゃないと私

エンスト起こして

派手な標的にぶつかるわよ?


あなたを乗せたまま



それでもいいの

それが、いいの



だけどきっと私は



あなたを放り出して

電柱に激突


白い煙吐き出して

あなたの無事を見届けたい


自分の愛車が燃えて釈迦ったと

仕事仲間にでも話して欲しい


本当に、いいバイクだったのにと


そう

褒められたい



そんなあなたの人生の

ほんの小さな「過去」になりたい