帳政 26 | 鬼龍院一馬のブログ

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 こうして、大和の国は、女王日巫女から、女王豊姫の国へと変貌を遂げました。
「息長日子王様、これから、大和の国と、倭の国造りに、本格的に取り組まねばならないと思うのです」と帳政。「大和の国および倭の国の現状について、お尋ねしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。まずは何から説明すればよいでしょうか?」
「そうですね、まずは、倭の国にどのような国があるのかと、その国と大和との関係を教えていただけますか。」
 息長日子王は、倭の国のどこにどの様な国があるのか、そして、それらの国と大和の関係について語りました。
「そうすると、蝦夷の地に対して大和の力が及べば、基本的には倭の国はおおむね大和に従属すると考えてもいいのでしょうね。その蝦夷の地は、どれぐらいの面積があり、どのような部族がいるのでしょうか?」
「部族の数は定かではありません。あまり大きな国はないと思われるのですが、何しろ上総国より北にはちゃんとした道もないので、よくはわからないのです。」
「そうですか。広さについてもわからないのですか?」
「上総国より北には、この大和から上総国へ行くのと同じぐらいの距離が蝦夷の地であると聞いています。そこから海を隔てて、アイヌの国がありますが、アイヌの国の広さはよくはわからないですね。」
「そうですか。ということは、今の段階では、蝦夷の地とはほとんど交流は無いということですね?」
「はい、その通りです。」
 帳政は、しばし、蝦夷に対する方策について思いを巡らせたのです。
「息長日子王様、上総国までの道はどの様になっているのですか?」
「えっ、道ですか?」
「はい、ここから吉備や筑紫へ向かうような、通行に便利な道は通っているのでしょうか?」
 息長日子王は、少し考えたのち、説明を始めました。
「上総国までの道ですが、平地においては、まず通行には差支えがないと思います。ただし、箱根のような山道については、道幅も狭く、一度に大勢が通るのには適してはいないでしょうね。」
「それらの道は、馬で走るには如何ですか?」
「えっ、馬って、何ですか?」
 当時の大和の国には、馬はいなかったのです。