安全保障関連法案に反対しようと海外在住者らが28日、「OVERSEAs」(オーバーシーズ=安保法制に反対する海外在住者・関係者の会)と名付けた団体を発足させた。海外在住者だけでなく過去に海外に住んでいたり、海外で仕事をしている人などが対象で、既に約400人がメンバーになっているという。
発起人の一人で横浜弁護士会の武井由起子弁護士は「海外経験が長いと国際的な視点から日本の現状をみる。今回の安保法案は世界の常識や最近の傾向を無視したガラパゴス的な法律。国内的にも違憲で、廃案しかあり得ない」と訴えた。
総合商社に勤め、中国や中近東で働いた経験のある武井さんが、安保反対の声を海外在住者からも上げてはどうかと思いついたのは今月中旬。フェイスブックに書き込むとすぐに賛意が寄せられた。その後非公開で知人らに呼び掛けるとわずか1週間ほどで約400人がメンバーとして名乗りを上げたという。
発起人の一人で20年余り米国に暮らしていた中溝ゆきさんは「米国は愛国と正義に基づきイラク攻撃へと一気に進んだ。その10年後に日本では東日本大震災と原発事故があり、いま隣国の脅威が強調されている。日本はついに米国のまねをするのかという強い焦燥感に駆られ、立ち上がろうと決めた」という。
30日に国会周辺や全国で計画されている安保反対デモに参加し共通のプラカードを掲げるほか、世界各地で連携を呼び掛けている。
◆障害者「切り捨てられる」
障害者の立場から平和の危機を考えるパネルディスカッション「戦後70年と障害者」が28日、都内で開かれた。障害関連団体で組織するNPO法人「日本障害者協議会」が主催し約500人が参加。戦争を体験した障害者らが証言し、戦争では障害者が真っ先に切り捨てられ殺されたことを指摘。藤井克徳代表は「障害者は戦争の前触れ察知請負人。心の目を見開かなければならない」と現状に警鐘を鳴らした。
パネルディスカッションでは、戦争を体験した聴覚、視覚、身体障害者らが、警報も聞こえない中で空襲を生き延びたり、戦後に不発弾で障害を負った経緯など、それぞれの体験を回顧。「戦争の役に立たない障害者は非国民扱いで差別され放置されていた」「戦争は障害者をつくり出し、そして殺す」「新憲法の下でようやく人権が認められてきた。障害者が発言できるのは平和だからこそ」「安保法案は戦争法案と言ってよい」などと訴えた。
基調講演では、精神科医の蟻塚亮二さんが沖縄の高齢者に晩年発症型の心的外傷後ストレス障害(PTSD)が続発していることを報告。「認知症や近親者の死を契機に、心の傷が今になって表れている。沖縄戦は終わっていない」と語った。「沖縄は本土防衛の捨て石になり、戦後は基地負担を押し付けられた。平和国家日本を演出するために沖縄差別がある」と指摘し、弱者を犠牲にする権力に対し、連帯の必要性を訴えた。
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