はじめはエベレスト登頂挑戦前　NHKテレビで紹介されたのをみて

なにか胸か腹の奥からこみ上げてくる熱を感じて　「頑張って欲しい」と影ながら応援してた

その後の「栗城劇場」は生で見ておらず　最後に訃報だけみてショックを受けたのを覚えてる

「夢」と「勇気」をエサにして　みなを騙し続けてきた詐欺師―――と言わざるを得ない足跡の数々

でもそうは断言したくない気持ちが　数年経った今でも未だにある

長年のアンチの方々ですら　死体に鞭打つような真似をしたりはしな…………控えてる

色々と嘘ついて迷惑もかけてきたけど　「奴なりに本気だったのか…(-∧-)」てな哀悼に落ち着く

確かに胸を打つような何かがあった　「頑張れ！」と応援したくなる共感はあった・今でも残ってる

直接関わったスタッフや熱心な支援者たちは　実害を被ったのでソレだけでは割り切れないだろうけど

ただの加害者だったとは　もちろん被害者だったとも言い切りたくない

自分を含めた今の３０代世代たちの虚無感・宿業　ソレを体現したような気がしてならない

頑張ってもどうにもならないけど　頑張るしかない

そもそも頑張りたくすらないけど　頑張るしかない

何もかもが嘘っぱちなのに　その方がカネも人気も巡ってくる

だったら頑張るしかない　嘘を積み重ねていくしかない……

でもエベレストは峻厳でありつづけた　人類がいなかった大昔からずっとそうありつづけてきた

彼の人生は虚しさに染まってしまったけど　「これからもそうあり続ける」と再証明してくれたことは

大いに価値あることだったと思う

不可能を証明することは　悪魔にすらできないことだから

　◆　　　追記(12／9)　　　◆

ちょうど松岡圭祐さんの　【千里眼・ブラッドタイプ】を読了したこともあって

栗城劇場は血液型占いと同じ　『月の錯覚』に類似した太古から続く強烈な錯覚なんじゃないかとも

栗城劇場そのものが何かの錯覚だったのか　それとも他の名の知れぬ錯覚を破るための「月面着陸」だったのか

にわかながらも一ファンだったことでも　後者であったことを望む

＿

嘘は積もっても エベレストにはなれない…