お盆休み中のこと。

じいちゃんの髪も髭も伸びて

ボッサボサになっていたため、

調子の良いタイミングがあれば

床屋に連れていきたいと思っていた。


その日は朝に電話した感じでは

そんなに悪そうではなかったし、

我々家族でじいちゃんの床屋の近くの

ショッピングモールへ行く予定もあった。


そこで、とりあえずじいちゃんちに寄って、

その時点で体調が悪くなければ

車に一緒に乗せていこうと考えた。

じいちゃんと私が床屋で降り、

家族のみんなにはショッピングモールで

用事を済ませてもらおうという計画だ。


お盆の真っ只中なので、

行く前に床屋にも電話して

営業しているかどうかの確認も忘れなかった。

ようやくじいちゃんを連れ出したのに

床屋がやっていなくては

じいちゃんもかわいそうだし、

私のショックも計り知れない。



じいちゃんちに着いてみると、

なんの支度もできていなかった。

まぁ想定内といえば想定内。

電話で数回、でかけるので準備しておくよう

伝えてはあったのだけど。

「えープンプン

着替えておいてって言ったじゃーん」

と不満のひとつも口から出るが、

ちょっと言いたかっただけ。

言われたじいちゃんも大して気にしていない。


薬も飲んでいなかったので飲ませたり

少しずつ準備を進めるうち、

苦しそうになってきた。

発作だ。

だから調子良いうちに着替えといてって

言ったのに~💦

仕方ないのだけど。

じいちゃんも辛くてかわいそうなんだけど。

認知症で他の病気と闘うって大変だ。

計画性もないし記憶力もないので

何事も行き当たりばったりになってしまう。


今日は無理しないで行くの止めようよ

と言ったのだけれど、

少し治まれば大丈夫だというし、

様子を見ることにした。


結局ずいぶんと待ったが、

じいちゃんの言うように

少し治まった時に

なんとか出発することができた。


車には待機してもらっていた

孫たちがいた。

じいちゃんの声が途端に元気になる。

心臓が良くなるわけはないのだが、

やはり気持ちの上で孫の存在って大きい。


無事に床屋で髪と髭を整えてもらって

すっきりしたじいちゃん。

床屋ひとつとっても、

元々は自分で車で行っていたところから、

→免許返納してからは自分で電車で

→次は片道私が送るようになり

→その次は行き帰り共に私の送迎

→そしてついに、送っていってそのままずっと付き添い、帰りも送って帰るようになった。

たった2年くらいでこうなった。

もっとも原因は認知症ではなく、

心臓疾患の方なのだけど。



床屋に行くだけでもこの変化。

ますます私も忙しくなりそうだ。

2ヶ月後のカテーテルで

事態が好転することを願うばかり。