じいちゃんはここ1ヶ月くらい

時々襲う息苦しさと戦っている。

心房細動というものらしいのだが、

そのせいで頻脈や不整脈といった症状がある。



毎日朝、昼、晩と電話している中でも

大丈夫な時と

まるで走ったあとのように

息を切らして会話するときがある。


苦しい時は頓服薬を飲むよう

医師から言われているが、

これが容易ではない。

電話で話していて息が上がっているとき

「今苦しそうだから頓服薬飲んで」

と言っても

「そんなもん無いよ」

「え。あるでしょ、テーブルの上に。

苦しいとき飲むって書いてある袋ない?」

「ないって」

「昨日はテーブルの上にあるの見たよ」

「えー?あぁ、これか」

毎度こんなやり取りをする。


しばらくはこんな状態が続いたが、

少しずつインプットされたのか

自発的に飲むことも増えてきた。



そうすると次の問題が出てきてしまった。

何でもすぐに忘れてしまう故に

頓服薬を時間を空けずに飲んでしまう心配だ。

一緒に住んでいない以上は

薬の減りなどもあとでしかわからない。



私は考えた。

なんとかじいちゃんの今の能力で

管理できる方法を。

できるかどうかは微妙なところではあったが、

もうこれしかない!表を作った。


まずはA4の紙を1枚用意。

表題には

「苦しいとき飲む。8時間以上空けること」

と書いた。

そして縦に1錠ずつテープで薬を貼り、

横軸に日付、時刻を書く欄を設けた。


問題は、きちんとこの表に

じいちゃんが記入してくれるかだ。

まずはやってみて、ダメならまた他の方法を

考えるしかない。



…結果は、まぁ期待以上には

上手く行っている。

その「期待」が低いのもあるかもしれない。

とても良かったのは、

意外にきちんと記入してくれていること。

(たぶん笑い泣き)

少し計算外だったのは

油断すると「毎日飲むもの」と

勘違いし始めたことだ。


それは電話で度々「苦しいときだよ」と

修正に修正を重ねて

概ね上手く行っていると思う。



普通のことが普通にできない。

それをなんとか上手く行くようにすること。

認知症でも一人暮らしを続けるのは

アイデア勝負でもある。