劇場映画「碁盤斬り」を観て

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★碁盤斬り(129分・日・2024)

(注)★★は超お薦め、★はお薦めの作品

 

監督:白石和彌(1974~・北海道旭川市出身) 代表作:「虎狼の血」(2015・125分)

 

脚本:加藤正人(1954~・秋田県能代市出身) 書き下ろし小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』として2024年3月に刊行

 

主演:草彅剛(1974~・愛媛県西予市出生・埼玉県春日部市出身):柳田格之進

 

助演:清原果耶(2002~・大阪市出身):お絹
中川大志(1998~・東京都出生・茨城県出身):弥吉
奥野瑛太(1986~・北海道苫小牧市出身):梶木左門
國村隼(1955~・熊本県八代市出生・大阪市出身):萬屋源兵衛
小泉今日子(1966~・神奈川県厚木市出身):お庚
斉藤工(1981~・東京都港区出身):柴田兵庫
市村正親(1949~・埼玉県川越市出身):長兵衛
音尾琢真(1976~・北海道旭川市出身):徳次郎

 

草彅剛がいよいよ役者として開花・全盛期を迎えたように思う 古典落語の演目「柳田格之進」をベースに加藤正人が映画脚本化したものを、白石和彌が監督・製作 草彅は江戸の誇り高い武士の生きざまを描いた人情噺に登場する格之進になりきっていた 撮影は2023年2月初旬~4月上旬に主に東映と松竹の京都撮影所(京都市右京区太秦)で行われたようだ 近いとはいえ両撮影所間の往復もあり、時代劇独特の衣装・かつら・メークなどに時間を要するので、主役でも待ち時間がかなりある その間草彅は高倉健(1931~2014・福岡県中間市出身)のことを想い、高倉になろうといていたという

 

白石監督のオーラのせいか、草彅を囲む助演には豪華俳優陣が揃った ただし、映画とはいえ囲碁の話なので、そこも手抜きをしていない 日本棋院の高尾紳路九段(1976~・千葉市出身)を監修に迎え、江戸時代の棋譜を踏襲し、囲碁のプロが観ても全く違和感がないようにしている その上井山裕太王座(元七冠:1989~・大阪府東大阪市出身)、藤沢里菜女流本因坊(1998~・埼玉県所沢市出身)など5人のプロ棋士もエキストラ出演しているそうだ 筆者には予備知識がなかったので、プロ棋士たちがどのシーンで登場したのかは分からなかった 大体の想像は付くが…

 

終盤の殺陣のシーンも見所 草彅と仇敵・斎藤工の一騎打ちはなかなか 加藤の脚本により、最後に堅物一辺倒の格之進に片隅に追いやられた人々を思う広い心・惻隠の情を与えた 筆者も若い頃は時代劇を少々馬鹿にしていたが、最近少しずつ日本の美意識・様式を体現した分かりやすい庶民向けの時代劇が復活しつつあるのは頼もしいと思うようになった 彦根藩での出来事は、本物の彦根城(滋賀県彦根市)でロケ撮影されたとのこと また、近くの琵琶湖も撮影に使われたようだ