都議会議員 桐山ひとみです

 

Q入学者選抜は教育内容に関わり、政治的中立性の確保が求められるのではないか。

 

(1)入学者選抜についての「政治的中立」は、いかなる法律の根拠に基づくものか、

その条文の指摘をした上で、法律と条例の関係を検討すべきです。

 

具体的には、教育基本法第16条第1項の、「教育への不当な支配」に照らしての検証が、極めて重要です。

※第十六条 教育は、不当な支配に服することなくこの法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない

 

(2)「不当な支配」について

 

 ①不当な支配を行う主体は、文部科学大臣、都道府県教育委員会、区市町村教育委員会などの教育行政機関も含まれる。

 

 ②最高裁判決(北海道旭川学力テスト事件)では、文部科学大臣が区市町村の中学校に学力テストを強制的に実施させることは違法という判例がある。

都道府県と区市町村は対等な地方自治体ですから、都道府県教育委員会が、区市町村教育委員会やその管轄に属する中学校に学力の関する試験を強制することも「不当な支配」に該当する可能性は高いのではないか

 

 ③もちろん、条例で「不当な支配」を規定することも「法令違反」となる。 

 

(3)立憲の条例が、「教育に対する不当な支配」に該当するかどうかに対しての質疑も多かった点について。

 

①私がシンプルに読み取るだけでも、条例案は、令和4年度まで実施されていた都立高校の入試の形態を維持して、令和5年度の都立高校の入試を実施すべきであることを規定しているだけであり、何ら新しいことを規定するものではないと解釈している。

 

また、規定ぶりも、学校教育法施行規則第90条第1項の規定を受けて定められた、東京都立高等学校の入学者の選抜方法に関する規則第10条「高等学校の全日制の課程の入学候補者は、高等学校ごとに、学力検査を受けた者(以下「受検者」という。) のうちから、調査書並びに学力検査、実技検査等及び志願理由書のうち受検者に課したものの総合成績(以下「総合成績」という。) により決定する。」を受けているものであり、「教育に対する不当な支配」に該当しないと考える。

 

②また、宗教や政治信条についての問題と出題したり、学習指導要領を無視して入試教科を定めたり、入試範囲を定めるなどの規定は「教育に関する不当な支配」に該当する可能性が高いものと考えられるかと思う。

 

③条例の規定の内容が「教育に対する不当な支配」となるかどうかが、「法令の範囲内」の条例かどうかという判断となると弁護士の判断。