善光寺を満喫した後、いざ戸隠神社へ。

 

戸隠神社の歴史は相当古くて正確に知ることはできません。一説によれば紀元前まで遡れます。

 

そもそも戸隠信仰の源である戸隠山は、古事記の「天岩戸隠れ」という話から始まります。

 

これはとても有名な話なんですが、忘れた人もいるかもしれませんので、少々ご説明させていただきます。

 

天照大御神(アマテラス)は、弟の須佐之男命(スサノオ)の度重なる暴行に心を痛め、天岩戸というところに引きこもり、さらに大岩で入り口を塞いだのです。

 

アマテラスは太陽を司る神様ですから、彼女が引きこもったら神々の世界だけじゃなく、地上にも日の光がなくなり、様々な災禍が起こります。

 

このままじゃいかんと神々が頭を悩ませた結果、八意思兼命(ヤゴコロオモイカネ)という知恵を司る神がアイデアによって、天岩戸の外でどんちゃん騒ぎを起こして、様々な儀式でアマテラスの注意を引こうとしました。

 

この努力が実を結び、アマテラスが外の騒ぎが気になってちょっとだけ天岩戸の扉を少し開けたのです。

 

その瞬間、隠れていた天手力男神(アメノタヂカラオ)がアマテラスの手を引っ張って、外に連れ出しました。これでようやく太陽が天に戻り、めでたしめでたし。

 

 

……あれ? 戸隠山と関係なくないですか?

 

と思う人もいるかもしれませんが、実はこの話、室町時代あたりに少々変化しました。

 

天手力男神がアマテラスの手を引っ張ったのではなく、天岩戸を掴んで投げ飛ばしたのです。

 

その天岩戸が人間の世界まで落ちて、戸隠山になりました、と。

 

つまり何が言いたいと言いますと、古事記の神々が戸隠信仰と関わったのは、少なくとも室町時代あたりからだと思います。

 

しかし戸隠神社自体は、室町時代以前から存在したと思われます。

 

これはあくまで私の想像ですが、おそらくまずはこの地の土地神(九頭竜大神)を崇める戸隠信仰が存在しており、その後神道を迎え入れたのではないでしょうか。

 

……というのは、私が事前にいろいろ調べながら妄想したのです。

 

私はフォークロアというものが好きですがまったくの素人ですから、正確さは完全に保証できません。こうやって神話に思いをはせるだけで満足してます。

 

 

さて、旅に戻りますか。

 

善光寺から長野駅に戻り、駅前の7番乗り場で戸隠高原行きのバスに乗ります。

 

7番乗り場は長野駅前案内所のすぐ外なので、案内所できっぷを買うこともできます。ただし2025年3月からアルピコ交通も交通系ICカードが使えるようになっていますので、ICカードをお持ちであればそのまま乗れます。

 

また、冬季(12月~3月)は奥社まで行けないのでご注意ください。

 

 

バスの中で撮った雪原。

 

今日は異例の暑さで戸隠高原でも20℃くらいありますが、それでも3月の長野はまだまだ残雪があります。

 

 

戸隠神社五社の一番下にある宝光社です。

 

祭神は天表春命(アメノウワハル)、上にお話しました八意思兼命の子です。

 

 

 

宝光社から歩くこと20分、二社目の火之御子社です。

 

祭神は天鈿女命(アメノウズメ)、天岩戸の外で神々がどんちゃん騒ぎを起こした時に全裸で舞を披露して天照大御神の注意を引いた功労者です。

 

実はこの火之御子社もさっきの宝光社も、私が行った時に冬季閉鎖中で参拝できませんでした。

 

事前の調べでは奥社と九頭龍社は冬期閉殿期間なのですが、まさか宝光社と火之御子社もなんて予想外です。

 

しかたなく公道を歩いて中社へ向かいます。

 

五社参拝したい人はご注意ください。いっそ時間をずらして4月からのほうが良いかもしれません。

 

 

さらに20分歩いて、中社につきました。

 

冬季の閉鎖期間ではここで五社すべての参拝と御朱印ができます。

 

また、戸隠そばの有名店もここにあります。ただし行列必至なのでご注意ください。私の時は30分待ちでした。

 

 

 

中社から30分あるいて、奥社……の参道入り口です。ここからが本番です。

 

何故本番と言いますと、ご覧のとおり雪が積もっています。

 

そう、ここからは雪道を歩かなければいけないのです。

 

台湾人の私はもちろん雪道に慣れていません。ていうか初めてです。

 

何が大変と言いますと、綺麗な雪に踏むとまず間違いなく沈みます。何故なら雪が綺麗だということは=踏み固まれていないことです。

 

ですからできるだけ踏み固まれて、なかば氷になり始めてるところを探すのです。しかし当然ながらそういう場所は滑りやすいから油断禁物。

 

雪道を歩くのはおよそ20分程ですが、これまでの道より数倍しんどかったのです。

 

 

 

20分ほど歩いて随神門です。

 

ここから奥社までもうすぐですが。奥社と九頭竜社は冬季閉鎖中で、そもそもまだ雪に埋まっていますから、もともと行くつもりはありません。

 

ここまで来たのはこの随神門と、参道の杉並木を見るためです。

 

 

 

 

参道両側の杉並木はいずれも樹齢400年を超えています。まるで巨人の森に迷い込んだようです。

 

ここまでの道は非常に大変でしたが、この光景を見ると少しだけ報われた気がします。

 

新雪の後、もしくは新緑の季節で来ればまた別の景色が見れるのでしょう。

 

 

 

中社に戻り、五社の御朱印をいただきます。

 

書いてくださった巫女さんはとても親切で字もかっこよかったです。

 

 

中社からバスで長野駅に戻り、ようやく町に戻ります。

 

とても大変だった(主に自分のせい)のですが、ドーミーイン長野の大浴場とサウナの設備はとても充実で全回復……とまではいきませんが豪華な夕食を期待。

 

そんな時に来たのはこちらの信州長野酒場。

 

 

名前の通り古い長屋の風情を感じられる外見です。木製の扉はとても小さくなんとか潜りました後、こちらの玄関でスリッパに換えて、この太鼓を叩いて人を呼ぶのです。

 

 

実は恥ずかしくて太鼓を叩いておらず人を呼びました…

 

 

このようにカウンター席もありますので一人でも入れます。

 

信濃の郷土料理や地酒を取り揃えており、ここで信濃の味を満喫できると言うのが売り文句らしいですが、まさにその通りです。

 

日本酒苦手の私でもなんとかスタッフのアドバイスのおかげで地酒を楽しめました。

 

楽しい食事の後もう一回サウナに入り、ようやく疲れが取れた気がします。

 

今日の旅はここまでです。

 

明日は松本城と小布施に行きます。

 

では。