MGF教会週報礼拝黙想2006年3月19日 | マラナサ・グレイス・フェローシップ(MGF)の礼拝黙想

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MGF教会週報礼拝黙想バックナンバー集 執筆者 MGF牧仕 菊地一徳

ノアの箱舟のサイズは古代の基本尺度「キュビト」で表されている。キュビトはラテン語で「肘」という意味を持つ長さの単位“キュビトゥム”に由来する言葉で、中指の先から肘までの長さを「1キュビト」とする。古代エジプト、バビロニア、ギリシャ、ローマ等で使用された尺度(腕尺)である。イスラエルもこれを基本単位とし(申命記3:11)、ヘブル語で「アンマー」と呼んだ。「1アンマー」は最短で約44cm、最長で約56cmと幅がある。これを箱舟のサイズ(創世記6:15)に適用する。

箱舟の全長は「300キュビト」=最短132m、最長168m。幅は「50キュビト」=最短22m、最長28m。高さは「30キュビト」=最短13.2m、最長16.8m。今日の大型客船に匹敵する大きさである。ちなみに私(カズ)が乗船していた宣教船「ドゥロス号」の全長:130.35m。最大幅:16.6m。総トン数:6804t。この船は世界最年長の現役の船(1914年建造。タイタニックより2年若い)で世界最大の洋上書店を持つ船としてギネスブックにも記載されている。また、横浜の山下公園に係留されている観光船「氷川丸」は全長:163.3m、船幅:20.1m、総トン数:12,000t。参考までに現在、確認される最大の木造船は、全長115mで8,500tである。箱舟の総体積は最小3万8332.8立方メートル、最大7万9027.2立方メートルになる。

仮に4万立方メートルとすると、米国で使用されている標準的な家畜運搬用貨車522両分の容積に相当し(貨車1両で24頭の羊が運搬可能)、箱船全体では12万5千頭以上の羊を運ぶことが出来たことになる。日本でよく見かける貨車ならば、約766両分に相当する。

そして、全体的なイメージとしては最小約2,904平方メートル(878.46坪)、最大4,704平方メートル(1422.96坪) の広さの土地に建つ高さ最小13.2m、最大16.8m(4、5階建てのビルに相当)の巨大建造物を想像してほしい。箱舟は3階建てなので(創世記6:16)、総面積は単純計算すると最小8,712平方メートル、最大14,112平方メートルになる。これは、バスケットボールコート:約21~33面分、テニスコート:約33~54面分、バレーボールコート:約54~87面分、アメリカンフットボール場の1.6~2.6倍、サッカー場の1.2~1.9倍に相当する。

それでも、あらゆる種類の動物を乗せることができるのかという疑問が湧くと思う。全動物の大きさの平均は羊ほどである。恐竜のような巨大生物も子どもであれば十分収容可能である。全動物の原種が約5万匹入れば、あらゆる種類の動物を乗せたことになると言われるが、それでもその占有率は箱舟全体の容積の37%で、残りのスペースに人間と食糧や水などは十分入る。しかも、動物たちは暗い箱舟の中で冬眠状態になったとも考えられるので、排泄や繁殖行為は抑えられたと推測される。

また箱舟は、航行の必要はなく、ただ浮けばよかったので、今日の船舶のような流線型ではなく、ほぼ箱形であったと考えられる。長さ・幅・高さの割合は「30対5対3」で、形としては比較的細長い舟であった。船体は、短いと安定が悪く、逆に長過ぎれば、大波に乗った時、真ん中から折れる危険がある。これは幅についても同様である。さらに、高さが高過ぎても安定が悪く、低過ぎても具合が悪い。箱舟の寸法は水力学的に非常に安定しており、海の高波でさえも安定感を保持するよう設計されて、転覆させることはまず不可能だと言われる。長さを幅の6倍の大きさとする設計は、大洪水の間に絶え間なく、打ち寄せる波に効果的であった。長細い形状は潮の潮流や流れ、特に渦潮のような場合に、箱舟を安定させるのに貢献した。海の大波の中でさえ、箱舟は90度近くまでのどの角度に傾いても、その後直ちに元の状態に戻るのだ。さらに、箱舟は、大波の進行方向に平行して並ぶ傾向があり、縦揺れは最低限にしか受けなかったと考えられる。石川島播磨重工業の元社長で、NTTの初代社長も務めた真藤恒氏は、専門の船ではそれまでの常識を破ったズングリムックリ型のタンカーを考え出した。氏は大型船の理想的な形を研究するよう、研究チームに命じた。その結果わかったことは、タンカー級の大型船にとって最も高い安定性と強度を持つ形は、長さ・幅・高さの比率が「30・5・3」である、ということだった。以来、造船界では、この比率は「真藤比」とか「黄金比」と呼ばれ、タンカー級の大型船の主流となっている。そしてこの比率は、ノアの箱舟の比率と全く同じなのである。ノアは、このように理想的な大型船を、ろくな造船技術もない約4500年前に造ってしまった。まさに、そこには神の導きがあったとしか考えられない。ノアの箱舟の物語は“神話”どころか、最先端の造船技術を先取りする驚くべき“神の実話”なのだ。