「…と言うことで、パーティー当日に、彼女を着飾ってくれると嬉しいんだけど。」
にこにこと機嫌良さそうに話す、レン。
ポカーンとするチオリと普段と変わらないカナエ。
「分かりました。ただ、ドレスはそちらで用意していただけませんか?あと化粧類やアクセサリーも。」
「もちろん、そのつもりだよ。化粧品もアクセサリーも用意するし、彼女が一番似合うドレスを作るつもりだから。」
「そうですか。では、よろしくお願いします。」
カナエはさっさと話を済まし、
「行くわよ、チオリ。」
「え、あ…うん。それでは失礼します。」
チオリはカナエを追うように部屋を出た。
「…一体どういうことなの?あの男が実は王子?そう言われれば、しっくりくるけど…。」
カナエの背中に向かって言えば、彼女は足を止めて振り返る。
「とりあえず、私たちはキョーコのためにやれることはやるのよ。彼に嫁ぐとあの子が決めたんだから。」
「そうね…分かった。」
「行くわよ。どうせウチのお姫様は、床掃除を張り切ってやってると思うから。」
「そろそろ本気で王女だって言う自覚をもってほしいわ。」
「同感ね。」
2人はそう話すとクスクスを笑い、キョーコが掃除している場所へと向かった…。
そして当日。
「よし、終わったわよ。」
「ありがとう、モー子さん。」
「これなら、パーティーの男を虜にできますよ。」
「え~?誉めすぎですよ、チオリさんは。」
カナエによってキョーコは綺麗にメイクされ、薄いピンクのドレスに合うアクセサリーや髪型を選んだのはチオリ。
魔法はまだ解いてないため、栗毛のままで、今はまだ姫と言うよりも貴族の娘と感じる。
するとドアがノックされ、
「あ、はい。どうぞ。」
ドアがあき、レンが入ってきた。
「準備は終わった?」
「うん、終わったよ。」
「すごく綺麗だよ。」
「あ…ありがとう。」
とろけた笑みにキョーコは頬を染めると、彼に手を差し出され、レンの手を取り、椅子から立ち上がる。
「それじゃあ、彼女を借りるから。」
「「いってらっしゃいませ。」」
王子だと分かっているカナエたちはお辞儀をして彼らを見送った…。