こんなに長くつもりはなかったのに、50話入ってしまったと言う…くっ。暴走蓮めっ。


゜・:,。゜・:,。★゜・:,。゜・:,。☆


キョーコは大変機嫌が悪かった。

「はい、キョーコ。あーんして?」

それなのに、逆に機嫌がとても良さそうな蓮が、スプーンでグラタンを掬い、フーフーしてから彼女に差し出す。

「じ、自分で食べれるもん!返してっ。」

ベッドから起き上がって、グラタンを取り返そうと動くキョーコだが、腰に痛みを感じてピキっと固まる。

「ほら、大人しく寝てたほうがいいよ?」
「だ、誰のせいだと思って…っ。」

腰だけではなく、足の付け根と膝の裏も痛いので、元凶をキョーコは睨みつけるが、

「うん、俺のせい。」

にこっと幸せそうに蓮。キョーコはブチっとキレて、

「結婚なんてヤッパリしないっ。」

怒鳴りつければ、ショックを受けた蓮がグラタンとスプーンを床に落とす。

そして情けない顔してオドオドし始めた。

「もうやめてほしいって言っても止めてくれないしっ。クオンなんて嫌いっ。」

ぷいと蓮から顔を逸らすキョーコ。

「ご、ごめん、キョーコ。こ、今度は意地悪しないから…っ。」

だから許して欲しいと蓮は懇願するが、

「あ!意地悪って認めた!!」
「あ…い、いや…その…ッ。」
「クオンなんて大嫌いっ。」

ガーンとさっきよりもショックを受ける蓮。

うなだれて肩を落とした彼は、床に落ちたグラタンを拾い上げ、床に残ったものをティッシュで拭く。

盛大にひっくり返ったため、もうこのグラタンは食べられず、仕方なくゴミ箱に捨てに行った。

(…やりすぎた…かな…?)

そんな様子をチラ見していたキョーコはちょっと反省。

こんなに反省するとは思わなかったからだ。

クスっとキョーコは苦笑いすると、筋肉痛で痛む身体に鞭を打ち、ベッドから出て、広い背中に抱きつく。

「…うそ。大好き。」

一瞬、蓮が驚いたように身体をビクっとさせたが、頬を緩ますと自分のお腹にある腕を解かせ、振り返って彼女を抱きしめた。

おでことまぶた、頬、そして唇にキスする。

「キョーコ…好きだよ。」
「うん…私も好き…。」

キョーコの腕が蓮の首に回され、キスを受け入れていくが、

「あ、もう何もしないでね?」

釘を刺しておくのを忘れない。これ以上されては確実に明日は動けなくなるのは見えているからだ。

「…了解。」

釘を刺された蓮は苦笑いを浮かべて承諾し、グラタンを半分こにしてかなり遅い夕飯を食べた二人はただ一緒に抱き合って眠ったのだった…。


10月4日 修正