ファースト・ラブ

ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー


「気のせいかしら・・・すごくいやな空気感じない?」

「やめてよ~~ここでるって噂してたんだから~~。」

怨念キョーコの気配を感じたのか気味が悪がるメイクさん二人だったが、

「さて、じゃあ、先に途中まで衣装に着替えて、その後メイクしちゃいましょうか。」

部屋についたため、キョーコに中にいれて、

「はい////!」

キョーコはメイクと言う言葉に嬉しそうに微笑んだ。

「あ、でも、その前にその指輪は外さなきゃね。」

「え・・・?」

チョトンとしたキョーコだったが、自分の右の薬指を指差されていたのですぐに気付く。

「着物は借り物だから、もし引っ掛けて破れたら大変だからね。」

(あ、確かに・・・でも・・・)

メイクさんに言われて納得したキョーコだったが、

「あのすみません、チェーンってありますか?」

できるだけ肌身に離さずにいたいので、そう申し込む。

「チェーン?ああ、私持ってるわよ。」

申し込むとメイクさんがこころよく、チェーンを貸してくれた。

「ありがとうございます。後でちゃんとお返ししますね。」

「いいわよ、返さなくても。」

「え?でも・・・」

「実は、ペンダントトップのところだけ無くしちゃって、どうしようか迷ってたところだから。だから、もらって?」

苦笑いしてメイクさんはいい、それを聞いたキョーコは困ったように笑ったが

「ありがとうございます、切れるまでちゃんと使いますね。」

最後は笑顔になって彼女のチェーンをもらうことにした。

さっそく指輪を外して、チェーンを通そうとしたがキョーコの手が止まって、頬がほんわかに赤く染まった。

なぜなら、指輪の内側には英語で『君を愛している』と書かれていたから。

それを読んだキョーコは困った顔で頬を染めて微笑み、

(もう・・・久遠たらっ////。)

くつぐったくって、くすくす笑った。これを見るたびにキョーコは笑う。

「どうしたの?」

笑い出した彼女にメイクさんは聞くとキョーコは首を振って

「いいえ、なんでも。」

そのまま、指輪をチェーンに通して首に下げた。

「そう・・・?じゃあ、着替えようか?」

「はい!」

キョーコは元気よく返事し、着物を着付けしてもらい、メイクをすることになったーー。


(ど、どうしよう・・・この現場では私はあまりにも不利すぎる。だって・・・スタッフは勿論、敦賀さんも監督もすでにあの子の味方なんだもの・・・!)

その頃の瑠璃子は壁に隠れながら、蓮と新開をみた後、

(私・・・負けるに決まってる・・・!!こんなつもりじゃなかったのよ、私・・・ただ、ちょっとみんなを困らせるだけのつもりだったのに・・・!このままじゃ、私があのハイエナ部員に役を乗っ取られて降ろされることになるじゃない!!そんなことになったら、

絶対世間に公開されて、いい笑いものにされる・・・!!)

「いやぁ・・・絶対にいやぁ~~~!!」

座り込んでそう考えていると

「・・・瑠璃子ちゃん。」

「!!敦賀さん。」

目の前に蓮がいて、

「監督、どうも本気みたいだし・・・勢いとはいえ、自分から降りるって言ってしまった以上、演技で訴えるしかないんじゃないかな。監督の気持ち変えたいなら。」

彼は瑠璃子と一緒に床に座って彼女に言う。

(敦賀さん・・・言葉はやさしいけど、やっぱり自分の身は自分で守れというのね・・・援護してもらえるのかと思った私が馬鹿だったわ・・・でも、そうね・・・きっと敦賀さんも昨日一日待たせた時点で私のことなんか嫌いになったのよ・・・だから、『共演』を望んでたのに出迎えてもくれなかったし、優しい言葉もかけてくれなかったんだわ・・・。)

蓮の言葉にそう考えていた瑠璃子はそこで

(・・・謝れば、許してくれる・・・かな・・・。)

「あ、あの・・・敦賀さん。」

「・・・ん?」

謝ろうとしたが、タイミングが悪く

「あら?敦賀君に瑠璃子ちゃん。どーしたの?そんなとこに座り込んで。」

メイクさんが話しかけてきて

「あ、もしかして、キョーコちゃんのできばえが気になって?」

なんていってきたので瑠璃子は

「いえ、別に・・・・」

言いかけたが、瑠璃子は言葉を失った・・・。

「監督、キョーコちゃんの準備できました。」

「お、そーか。」

メイクさんの報告を聞き、新開は彼女のほうに行って

「即興でメイクと着付けしたわりにはいい出来でだと・・・」

「ほお、どれどれ。」

コソコソ話を聞いた新開は次にキョーコを見ようと歩き出すと

「ん?どうした瑠璃。随分と顔色わるいぞ。」

ぶつぶついいんながら青い顔してる瑠璃にそう聞くが、彼女は気付いてないようで近くにいた蓮に

「一体どうしたんだ・・・?」

聞いてみたが、

「・・・見ればわかりますよ。」

蓮はそう言うだけで、そうしているうちにざわざわ声がして、新開はそっちへ視線を向けた。