ファースト・ラブ

ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー



その頃、瑠璃子とはいうと着替えし終わってる蓮をちらっと見て

(敦賀さん・・・自分から私との共演を希望しといて、どうして私に声の一つもかけて来ないのかしら。)

イライラウロウロしている。

(私に気付いてないの?敦賀さーん、敦賀さーん、おーい、敦賀さーん。敦賀さんったら!!)

「あ・・・。」

イライラしすぎて、知らないうちに蓮の服の裾を掴んでいた瑠璃子。

「・・・やあ、瑠璃子ちゃん。やっときてくれたんだね。」

瑠璃子の存在に気付いた蓮はにっこりと笑顔をみせ、

「あ・・・。」

彼女はその笑顔に頬を染めたが、

待ちくたびれたよ。

蓮はズバリと嫌味を瑠璃子に言った。そんな言葉に瑠璃子は震えて、

(な・・・な・・・なにそれーー!!)

ぷんっと顔を逸らし、別の方向に歩き出した。その様子に蓮は困った顔をしてため息をつく。

「あれあれ、蓮の対応がおきに召さなかったか。蓮が彼女との共演を切望したって設定だもんな。」

するとその後ろのいたであろう新開がそう言いだす。

「ちょっとは期待通りの台詞を聞かせてやればいいのに。」

「それじゃあ、今回の困難を承知で彼女をいれた意味がないですよ。」

「確かに・・・えらい困難を押し付けられたな。恨むなら宝田さんを恨め。」

「そうですね。この映画いつまで経ってもクランクアップしなかったら恨みましょう。」

「・・・おお、そりゃあ俺も恨む。」

宝田というのはもちろんローリィのことで、映画が完成しなかったら二人はローリィを恨むことにした。

(酷い!!私がここにきた時だって出迎えてくれるどころか、ハイエナ部員にかまってたくせに!!)

ズバリと嫌味言われた瑠璃子は廊下を歩きながら、長い黒髪の桂をとってそれを床に打ち付ける。

(悔しい・・・!!私は出るトコへ出れば、敦賀蓮に負けないくらいのファンがいる、LMEが誇るスターなのよ!)

髪をくしゃくしゃにして元の髪型に戻してながら歩いていると偶然にキョーコち社がいて、

(あ、瑠璃子ちゃんだ!)

「瑠璃子ちゃーーん!」

何にも知らないキョーコは杖を使いながら

「良かったー、まだ撮影始まってなか」

歩み寄っていたが、瑠璃子は彼女を睨み、その瞬間そのときに感じたピリピリしたものをキョーコは感じた。

(この憎悪、念波・・・!!あの時の・・・・!?)

でも、キョーコはまさか瑠璃子がと思って首を振って

「まさか・・・そんなね~。第一私、瑠璃子ちゃんに嫌われるような事・・・」

「私・・・ラブミー部って出来た時から嫌いだったの。」

「!!」

否定はしてたが、瑠璃子の徹底的の言葉に驚く。

「ラブミー部の存在理由自体、私は生理的に許せないの!!何が人に愛される仕事をしたらデビューできるよ!馬鹿にしないでよ!芸能界は才能のある人間だけが輝けるのよ!!掃除や付き人やってりゃ陽のあたる場所に出られるなんて甘ったれてるわ!!人に媚び売る暇があれば芸の一つでも磨けってのよ!!」

瑠璃子のその言葉にキョーコは今さら、あることに気づく。

(そういえば・・・もしこれでデビューしても、実力でデビューしたことにはならない・・・!今までどうして気付かなかったんだろう・・・!!LMEに入れればいいってなんでもいいって考えてたから、実力で上にいきたいって思ってた事をすっかり忘れてた・・・!!なんのために受けたオーディションよ・・・!!でも・・・)

「私は、媚びなんて売ってない・・・。」

媚びを売ってデビューしようだなんて思っていなかったキョーコは否定する。

「嘘よ!ポイントのためなら、あんた、私をおぶって坂道を上がるなんてハードなことだって平気でやるのよ。」

(違う!!ポイントなんて関係ない!!あの時私は本当に瑠璃子ちゃんを守りたくて・・・!!欠けた感情が取り戻せそうで・・・。)

「でも、私、いいポイントなんてあげないわよ。だってはじめからあんたを潰すのが目的だったんだもの・・・。」

その瑠璃子の言葉にキョーコの左の足首がズキっ・・・とうずいた。

「そうだ、あなたずっと私の付き人やってよ。そのうち芸能界諦めさせてあげるから!」

あははと笑って言う瑠璃子。そんな言葉に

〔外ダバ~~外ダバ~~やっぱり外は〕

キョーコの右肩から一匹の怨念キョーコが出てきて、歌って背伸ばしたりしだした。

だから、キョーコはバッと左手で右肩を押さえる。

「!!」

突然の彼女の行動に瑠璃子は驚いて

「な、なによ!!急に!」

(まさか、そこから何か出すつもり!?)

後ろに下がる。

「瑠璃子ちゃん・・・」

「な、なによ!」

名前呼ばれてた為に返事するとキョーコはにこっと笑ったため、瑠璃子はまた驚いた。

「ここでなにしてるの?」

「!?あんたの嫌いさ加減を熱弁してたんでしょう!?あんた頭悪いの!?」

「撮影は?」

「知らない、やってないでしょ~~。私がいなきゃ何にもできないシーンばっかりなんだから。今頃みんなで私の事探して」

ただ困らせたいだけの瑠璃子はそう言うとキョーコは隣にいる社に顔を向けて

「社さん。」

笑顔で呼び、社と協力して、落ちていた桂を拾った後

「きゃあああ~~嫌、何するのよ~~!!」

二人で瑠璃子をみんなのところに運びだした。

ただしキョーコは左の足首を負傷してるため、残った足でトントン飛んでる状態。

「あ!!瑠璃子ちゃん!」

「瑠璃子ちゃん、戻ってきました!!監督!!」

連れて行くとスタッフが、一番先に気付いて新開に伝える。

「ん?そうか帰ってきたか。」

お茶飲みながらのんびり座っている新開と蓮。

(ちょっと!!なんで誰も私を探していないのよーー!!)

そんな様子に瑠璃子は衝撃を受けた。