「坊」の恋
<sisen-K->
「どうしよう・・・。」
思わず『さいじょうきょうすけ』なんて名乗ったけど・・・。
「はぁ・・・。」
しかも、来週って・・・。
「誰、連れてくるんだろう・・・敦賀さん。」
そうかんがえると胸がズキズキ痛む。気付いてしまった・・・この気持ち・・・。
気付きたくなかったのに・・・。
「敦賀さんが好きだなんて・・・。」
小さく呟くと切ない気持ちになる。
目を壁のほうをみると敦賀さんのポスターが見える。
前はそのポスターに『打倒!!敦賀蓮』なんてかいてあったけど・・・。
まさか、こんな気持ちを抱くなんて・・・。
忘れようと思っているのに、忘れられなくて・・・それどころか・・・。
『最上さん、こんにちわ。』
あの人に会えると・・・嬉しくって・・・もっと好きになってしまう。
どうしたらいいのか、わからなくて・・・距離をとろうと思ってたのに・・・。
「こんなことになっちゃった・・・。」
本当は、会いたくなんてないのに・・・敦賀さんの好きな人なんて・・・っ。
「・・・っ。敦賀さん・・・っ。」
あの人の名前を口にした私は、そのまま、泣いた。
「え・・・?」
「いや・・・だから、来週の火曜の夕方は空いてるか聞いたんだけど・・・。」
目の前にいる敦賀さんはもう一度、私に言う。
「あの・・・すいません・・・その日は仕事が入ってまして・・・。」
「そうなの?」
「はい・・・。」
すみません、頭を下げると
「君に会わせたい人がいるんだ。だから・・・少しでいいから時間を空けてくれると嬉しいんだけど・・・。」
「はぁ・・・わかりました。」
会わせたい人・・・?だいたい、その日は好きな人を私の前(坊の前)に連れてくるんじゃ・・・?
「よかった・・・断られたらどうしようかと思った・・・。」
安心したように微笑んだ後、敦賀さんは私を溶けるような笑顔で
「そのとき、君に言いたいことがあるんだ・・・。」
「え・・・?」
「とても大事な話なんだ。聞いてくれる?」
私を見つめて言う。
どうして・・・どうして・・・。
『私を、そういう風に見るんですか?』
なんて聞けるわけない・・・。
「いいですよ?『先輩』のお願いを断れるわけないじゃないですか!!」
あははと無理矢理笑う。
「最上さん・・・。」
すると敦賀さんは悲しそうな表情をした。
どうして、そんな顔するの?私はただの、後輩でしょ?
「それじゃ、私は仕事があるんでこれで・・・。」
彼の顔をそれ以上見ていられなくて、私は逃げるようにその場を去ったーー。