ファースト・ラブ
ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー
「あーはい瑠璃子ちゃんちょっと回って。いいわよー、瑠璃子ちゃん肌が白いからこの着物の色映えるわねー。」
女性スタッフがそういいながら、瑠璃子に着物を着付けする。
(私は・・・本当にこんな映画の仕事なんかやりたくなかったの。でも仕方ないじゃない。どうしても私と共演したいって頼まれた
から、仕方なく顔を立ててあげたのよ。相手にもプライドがあるでしょうから、一応、現在、芸能界で一番いい男だと支持されている、敦賀蓮だし。)
「ねぇ・・・」
「え?」
瑠璃子に呼ばれてスタッフは首を傾げると
「敦賀さんは・・・?」
綺麗な着物を着付けてもらい、長い黒髪の桂を被った瑠璃子がそう聞いた。
「だから、私は大丈夫ですから降ろしてください!!一人で歩きますーー!!」
その頃の蓮というとロケ現場にはついたが、キョーコを抱き上げて運んでいる途中で
「何が大丈夫だ。ガサガサコソコソ亀みたいにしか動けないくせに。だいたい君は人の親切にケチをつけるのが趣味なのか!?礼を言われても怒鳴られる筋合いはないけどね。」
「どういわれても、私は素直に『あなた』の親切を喜べないんです!!絶対に何か落とし穴があるんだからーー!!」
キョーコは足掻いて抵抗するため、なんとか落さないようにはしている。
「あのね・・・俺だって怪我してる女の子に嫌がらせするほど鬼畜じゃないよ。」
そんな彼女に蓮はため息していうが、
「どういわれようが、私は『あなた』のお世話にはなりたくないんですーー!」
キョーコはやっぱり大人しくする気配はない。
「聞いたか?あの蓮でも女の子に嫌がらせするらしいぞ。」
「う~~む、想像できん・・・一体どんなスィートな嫌がらせなのか。」
二人の会話をきいたスタッフたちは信じられないような感じで言い、蓮のマネージャーと新開も蓮が戻ってきたことに気付く。
「・・・そこまでおっしゃるなら。」
ついに諦めたのか蓮はキョーコは窓が開いた状態の建物の廊下の上に座らせ
「俺はこれで・・・」
自分のマネージャーのほうにへと行く。
座らせられたキョーコはそんな蓮を見ながら
(もしかして・・・怒ったのかな・・・?)
罪悪感を感じたが、すぐに我に返ったように
(って・・・!?どうして私が罪悪感を感じなくきゃいけないの!?『むこう』から私のこと嫌ってきたんじゃない!だから、私も嫌ってやるって決めたのに!邪険にされたからって怒るほうが可笑しいわ!だって私は何も『嫌って』とはいってないもの!)
考えを改めなおした。その瞬間う、後ろからピリピリとしたものを感じた。
「!!」
だから、振り返って周囲を見わたしたが誰もいない。
(何かしら今の・・・。確かに『憎悪』のようなものを感じたのに・・・!!誰もいない、気も気のせい・・・?いいえ・・・でも・・・。)
自分の感じたものなどを信用したいが、キョーコは首を傾げるしかなかったーー。
(な・・・な~~によさっきの~~!!おおおおおおお姫様だっこ!?お姫様だっこ!?お姫様だっこ!?お姫様だっこ!?敦賀さんにお姫様だっこされてたわーー!!)
キョーコが首を傾げている時、瑠璃子は壁に隠れている状態で震えながら怒りを露にしていた。
(わ、私だってまだ顔合わせの時とかに挨拶した程度なのにーー!!他人に媚び売って生きながらえようとしてるLMEのハイエナ部員がーー!!)
「私をさしおいて敦賀さんと親しくなろうなんてーー!!」
(ゆ、許せない~~!!)
震えながら拳を作り、瑠璃子はそう思った。
その頃キョーコは蓮のマネージャーに左の足首を手当てしてもらっていた。
「よし・・・これでまず応急手当てはOK・・・。」
「あ、ありがとうございます・・・えと・・・。」
名前が分からないため、キョーコは困ると彼はそれに気付いて
「社だよ。」
名字を明かした。
「社さん・・・。」
「・・・俺には素直に礼を言ってくれるんだね。」
自分には素直にお礼を言ってくれたため、社はキョーコにそう言うと
「っ・・・だって・・・あの人、すごい意地悪なんです。あの人が私を素直にさせないんです!!」
(元々、へんに意地悪なところもあるけど、からかうくらいで、あそこまで酷い事されたことなんてないもの!)
この前のことを思い出しながらいうキョーコ。
「ん~~おかしいね~~。基本的に誰に対しても友好的なはずなんだけど・・・。あ、でもほら、俺も実はまだ蓮の性格つかみきれてないから」
(俺も絶対あいつは人に見せられない一面を隠し持ってると・・・・。)
どうやら、蓮の付き合いはまだ浅いらしく社はそう思っているらしい。
「・・・いいです、別に慰めてくれなくても」
(あっちが私を嫌うなら、私も嫌ってやるんだから!)
ふんだっとキョーコは開き直る。それを聞いた社は立ち上がって
「でも・・・俺でもこれだけは言える・・・仕事が関わると蓮は容赦なく厳しくなるんだよ。自分にも他人にもね・・・。」
そう言い、それを聞いたキョーコは
(・・・それは確かにそうは思う・・・。久遠は一番に自分に厳しくて、でも、そのせいか自分を甘やかすことを忘れてる・・・。)
「泣いたとこなんて一度も見たことない・・・。」
つい、そう呟いて、
「え・・・?何?」
社に聞かれた彼女は慌てて
「な、なんでもないです!!」
首を思い切りに振って誤魔化した。
「そう・・・?じゃあ、病院行ってみようか?」
「え!?これで終わりじゃないんですか!?」
病院にいこうと言い出した社にキョーコは驚く。
「それは応急手当てだから。」
「でも、病院って往復で一時間越えるんじゃ・・・。」
キョーコの言うとおり、あの坂を下りても当たりは見通しのいい田園だけで近くても病院は片道30分もかかる。
「超えるかもね。」
「私・・・いいです。テーピングでがっちり固めてもらったから大分、楽になったし。それに・・・」
そこまでいってキョーコは手を組み合わせ
「私には指名がありますから・・・!!」
(瑠璃子ちゃんを守るという!!)
目を輝かせて言った。