ファースト・ラブ

ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー



その頃、キョーコは瑠璃子の依頼より、彼女と共にワゴン車の中にいた。

「本当は映画なんか出たくないのよね・・・。」

そう呟く瑠璃子の横に存在する車の窓は遮光カーテンによって光が遮断状態。

「外でのロケもあるなんて・・・超時間、太陽の下になんかいたら私には命にかかるわ・・・。」

深いため息して憂鬱そうな瑠璃子はそう言い、それを聞いたキョーコは

(そういえば・・・今朝マネージャーさんと瑠璃子ちゃん迎いに行った時も・・・すごい重装備だった。)

朝の時の瑠璃子の格好を思い出す。口や顎辺りはスカーフで、目はサングラスで、頭は黒い帽子で、手には黒い手袋、

そしてズボンなどの服装で肌をほぼ見せない状態で、何だか怪しい人のようだった。

「・・・もしかして、瑠璃子ちゃんって紫外線アレルギー?」

(太陽に当たると発疹が出たり、皮膚がかぶれたりする・・・?)

瑠璃子の様子を見てて、キョーコはそう聞いたが、瑠璃子は目を閉じてままで何の反応もないので

(あれ・・・?寝ちゃったのかな・・・?)

「大変ですね・・・瑠璃子ちゃん。」

(そんな厄介な体質なのに野外ロケなんて・・・。)

ターゲットを横いた瑠璃子のマネージャー変えた。

「え・・・ええ、そうなのよ・・・太陽に当たるとすぐに気分悪くなるし、家から連れ出すのにすごく苦労するの。」

急に聞かれた彼女は苦笑いして困ったように答える。それを聞いたキョーコは衝撃を受け

(すごい・・・!瑠璃子ちゃんって小さい頃アニメで見た大金持ちのお嬢様とかお姫様みたい・・・!!雪のように白い肌で体が弱くて、外に出られない!!あ、でも、瑠璃子ちゃんは日本中にファンがいるからやっぱりお姫様よ!!プリンセスには欠かせない条件、『歌声で民衆を魅了する』だって満たしている!!その気になれば小鳥だっておびき寄せるわ!!)

「それで・・・ね・・・最上さん・・・。」

(なんてこと・・・!!)

「瑠璃はあなたに太陽から守ってほしいらしいんだけど・・・。」

(子供の頃から憧れ続けていたプリンセスが今、目の前に・・・!!)

や、やらせていただきますーー!!

マネージャーの言葉にキョーコは涙を何故か泣きながら言い切った。そのため、マネージャーは驚く。

(守ってみせる!!なんとしても、プリンセス好きのプライドにかけて・・・!!ああ・・・我が青春の美しいプリンセス~~!!)

そして、キョーコはもうすっかり、メルヘンの世界に羽ばたいてしまっていると車の動きが鈍くなり、

「あ゛・・・!」

運転手のその声で車は完全に止まった。片目あける瑠璃子。

「どうしたの・・・?」

車が急に止まった為、マネージャーは聞くと

「悪い・・・エンコした。」

運転手はそう言った。それを聞いた瑠璃子は狸寝入りをしてただけなので

「ええええええええええええええ!?」

大いに叫んで、キョーコは寝てたと思っていたのでびっくりする。

「『エンコ』したじゃないわよ!!こんなとこで止まっちゃって!!どうすのよ!!」

(瑠璃子ちゃん・・・寝てたんじゃなかったの・・・?)

怒ってる瑠璃子を見てそう思ったキョーコだったが、

「ごめん、すぐ直せるかどうかわからないから、ここからあるいてくれないか?」

運転手がマネージャーにそう言うとマネージャーは

「そうね・・・現場まではあと少しだし・・・。」

「ええええええええ!!嫌よ!!私ーー!!」

「じゃ、最上さん、早速で悪いんだけど、瑠璃のことお願いできる?」

瑠璃子の言葉なんて無視して、キョーコにお願いし、

「!!」

「歩くなんて、私は嫌ーー!!」

「はい!!」

キョーコは元気に返事をするが、

「嫌ーー!!」

瑠璃子はずっと嫌がり、車の外に出てキョーコが特性にできている巨大な傘をさし、二人でその中に入ってもムスっと機嫌が悪そうにしている。

「それでは私達、一足先に行ってますので!!」

特性の巨大な傘をさしながら、すっかりキョーコは姫君を守るナイトになりきっている。ちなみに傘と言うよりは見た目はビーチ

パラソルだ。さらには内側にブラックシートがついている。まさに紫外線対抗のために作られた傘だ。

「ごめんなさいね。すぐに必要なものをまとめてつめかえたら後を追うから。」

マネージャーはキョーコにそう謝り、

「・・・車が直るまで待つ。」

瑠璃子はまだ諦めてないのか、自分のマネージャーに訴えるが

「だめよ!みなさん、瑠璃をまってくれてるんだから!!本当は昨日から入る予定だったのに、その傘が出来上がってこないからって延ばしてもらったでしょう!?」

「だってしょうがないじゃない!!」

マネージャーは折れたりしない。

(そうよ・・・しょうがないじゃない・・・!だって瑠璃子ちゃんの体に太陽は毒なんだもの・・・!!当然の様に太陽の下を歩けないってことがどんなに辛いことか・・・!!)

く・・・っとキョーコはツライのを耐えていたが、瑠璃子たちの言い争いは続き

「でもね!瑠璃!!」

「嫌ったら、嫌!!」

「行きなさい!敦賀さんだって待ってるのよ!!」

その言葉にキョーコと瑠璃子は反応する。

(・・・つ・・・鶴?)

「ふん、敦賀蓮ね・・・!」

(鶴・・・レンガ・・・。)

キョーコは鶴とレンガで頭を一杯にし、現実逃避し、瑠璃子とはいうと

「しょうがないわね!!本来なら向こうが向かいにきても良さそうなんだけど!!こっちも一日遅れてるし!?」

頬を染め、あれほど嫌がってたのに歩き出す。