ファースト・ラブ
ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー
「はぁ・・・初仕事10点か・・・。」
階段で座って、それを見つめ、キョーコはがっかりする。
(これって・・・今回の仕事って無駄だったってことなのかな・・・。)
〔ケチくさいな~~言われたとおり廊下は綺麗になってんだから、もうちょっと点数くれてもいいと思わない~~!?〕
〔だいたいさ~掃除したの見たら分かるんだから、少し注意して歩いてくれたらあんな事になったりしないのよ!!〕
〔〔そーだー!!そーだー!!〕〕
【なんてことを言うの、あなた達!怪我人が出てるのよ!大減点は当たり前でしょ!?また『だめだめです-10』だけじゃないだけ、ありがたいと思わないの!?】
怨念キョーコがそう言う話してると天使のような純粋キョーコが一匹どこからか出てきてそう言う。
〔思わないわよーー!!〕
〔何、こいつ!!いい子ぶって!!むかつくーー!!〕
【きゃああああ、ごめんなさぁあああああい!!】
だが、純粋キョーコは怨念キョーコにたこ殴りされ、負けて、引っ込んだために
「・・・やっぱり、10点は酷いわよね・・・上尾さんには-10点押されちゃったし・・・無効ではあるけど。」
キョーコはそう呟き、上尾の採点はスタンプ帳に押されたわけではないため、無効化。
「差し引きゼロで全然スタートした気がしない・・・。」
そこまで言って、あることに気づくキョーコ。
(・・・そっか・・・今からスタートだと思えばいいんだ。よぉし・・・もう今回みたいな失敗するもんか。初めから、やり直しだ!!
次は人に迷惑かけない仕事をする!!)
だが、本来の目的を間違えており、本来は『人に愛される仕事をする!!』だ。
拳を作ってキョーコがそう思ったとき、ゴスっ・・・と鈍い音がして後頭部になにかが当たった。
「あぁら、ごめんなさぁ~~~い。こんなトコロに人がいるだなんて思わなかったわ~~~。」
その声にキョーコはゆっくりと振り返る。
「でも、そんなところに座り込んでる、あなたが悪いのよ。」
振り返るとキョーコと同じくらいの少女。
「松内瑠璃子ちゃんだ!」
「そーー、私が松内瑠璃子よ。」
キョーコに名前を言われると瑠璃子は偉そうに腰に手をあて、自慢げに
「LMEが世に送り出した日本最後のアイドルよーーー!!」
(・・・日本最後ってよくないわよね・・・。なんか絶滅に瀕した動物みたいだし・・・これは間違いなく社長さんの趣味ね・・・)
自慢するが、キョーコは冷静にそれはよくないのではないかと考え、
(だって無条件に大衆に愛されそうなんですもの。保護動物よ?)
「ホーント、社長の趣味っぽいわよねぇ、ラブミー部って。」
そう言ってくすくす笑う瑠璃子を再度見た。
「・・・あなた、その噂のラブミー部なんでしょ?ちょっと、私の依頼受けてちょーだいよ。」
瑠璃子はキョーコを見下ろしながら、そう言った。
「ほー瑠璃が素直に仕事に向かったか。」
「はい。」
ここは社長室、今日のローリィのお召し物もド派手さは健在で、
「今日から入る映画の撮影、外でのロケもあるし昨日もまだちょっとごねてたのもあって、内心、心配してたんですが、案外
社長の目論見通り、今回の仕事で瑠璃に革命が起こるかもしれませんね!」
拳を作って言うのは中澤だが、ローリィは
「・・・だといいんだが・・・映画の仕事も承諾させるのに瑠璃の性格利用したようなもんだしな。」
そううまく行くかは自信がなく、
「今回の映画、なんで出演が決まったのか、本当の理由を知ったら・・・」
「そりゃ・・・絶対降りるって言い出すな・・・。」
中澤の言葉にローリィは苦笑いした・・・。