ファースト・ラブ
ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー
「蓮、おまたせ。」
蓮が椹と話していると茶髪に眼鏡をかけた男性がきて、多分、彼のマネージャーだろう人が
「上尾さん、来たって。」
そう蓮に言う。報告きいた三人は歩き出す。
「やれやれ、やっとお出ましか。大女優ともなると遅刻も特権だな。」
「椹さん・・・それ上尾さんの前で言ってみたらどうです?」
「後々面倒だから嫌だね。あの人怒らせた人間はずっといびられるって話だぜ。」
「へ~~。それはすごい。」
椹の話しに変に関心する蓮。
「あらっ、敦賀く~ん。」
そこに誰かに声をかけられ、三人は動きをとめ、声をしたほうを見ると
「ごめんなさいね~~。お待たせしちゃって~~。渋滞で動けなくて大変だったのよ~~。」
上尾がこっちへと歩きながら蓮に謝ると蓮はにっこりと笑顔になって
「そうですか、じゃあ次からはお化粧する時間を移動に費やせば間に合いますね。」
なんていい、それを訊いた上尾は顔を青くし、椹も青くして
(レ~~~~~ン~~~~~!!)
頬を押さえながら、驚愕したが、
「他の出演者の方もお待ちかねですよ。急ぎましょう。」
「そ、そうね・・・。」
蓮は何事もないように上尾を案内する。
(お前って奴はわけへだて優しいが、わけへだて容赦ない奴だな・・・。)
そのため、椹はドキドキしがらそう思う。
「・・・そういえば、お荷物はなにもないんですか?」
「ああ、荷物ならあそこに。」
上尾は蓮に訊かれ、自分の多い荷物を持たしたキョーコを指差す。
コスメが入ってると思われる入れ物とブランドもののバックと大きな旅行ケースを持たされた&自分の鞄を合わせて
キョーコはぜはーぜはーと息が耐えながらも運び中。
(な、なんで・・・私があの人の荷物運ばされるの~~~!?)
『あら。それがあなたたちの仕事でしょ。』
(って・・・新人の仕事ってこと~~~!?)
そう思いながらも、上尾の言葉のままに状態。
一方、椹はキョーコの姿をみて、
「最上さん!!」
椹はすぐにキョーコを呼んだ。呼ばれたキョーコは正面をみて
(椹さん・・・!!久遠もいる・・・!!)
表情を明るくさせたが、蓮と目が合うと彼は目を反らしたため、
(あ・・・そっか。『ここ』では「他人」になるって話し合ったんだけ・・・。)
久遠との話し合った内容を思い出した。そう考えると胸が痛んだ。
(二人で話してきめたなのにな・・・。)
しゅんと落ち込んでいたキョーコだが、
「・・・驚いたな。」
椹のその一言に彼をみた。
「君はもう早速、仕事をしてるのか!?例の企画の事知ってる!?」
「は・・・?企画・・・?」
椹のいってることによくわからないキョーコは首をかしげたが本題を思い出し、
「あの、椹さん、私、今日きたのはやっぱり芸能界諦められなくて!!」
そう訴えると椹はうんうん、そうだろう!と頷いて
「君なら、そう言って帰ってくると思っていたよ!」
「私に欠陥あるのも分かってます!!けどけど!!諦めらめきれなくて!!」
「うんうん、その欠陥さえも凌駕する強い情熱が欲しかっただよ!その調子!」
「お願いします、椹さん!!私にできることならなんでもします!!サクラだろーとつき人だろーと影武者だろーと料理、掃除洗濯得意だから、事務所キーパーだってやってみせます!!どうかLMEにおいてください!!」
「よーし、よく言った!!」
パンっとキョーコの両腕を叩いた。
(・・・ん?)
そこでやっと異変に気付くキョーコ。
「じゃ、まず手慣らしに今やってる仕事をまっとうしなさい!!」
「え・・・?」
「要は心をこめて仕事をすればポイントをくれるから!」
「は・・・?」
(ポイント・・・って・・・なに?)
椹の言葉を訊けば聞くほど、意味が分からなくなるキョーコだが、
「ちょっと、荷物!!早く運んでよ!減点するわよ!!」
その声に振り向くと上尾が睨んでいる。
「さあ、早く。」
「はあ・・・。」
(減点・・・ってなに?)
疑問で頭が一杯だが、言われるままにキョーコは多い荷物のせいでモタモタと上尾と蓮の後ろについていく。
上尾はスタスタと前へと歩いていってしまった。すると蓮が
「重そうだね・・・少し持とうか?」
「え・・・?う、あ。」
そう言って、キョーコが持っている旅行ケースを持つ。
「あ、あの・・・」
「普通、持つだろ。こういう場合、男だったら。」
キョーコが戸惑ってると蓮はそう言って微笑む。
(・・・あ、やっぱり、久遠だ・・・優しい。)
「すみません・・・。」
「どういたしまして。」
言葉に甘えて、もってもらうことにしたが、キョーコは果てしなく後悔する事となる。