ファースト・ラブ
ー無償に与えられる愛を君へ・・・ー
キョーコが控え室でこんなこんなしてる頃、会場では、
かく主任たちが受験者の詳細が載った履歴書をばさっと机に置く。
「はーやれやれやっと半分終わりましたな~~~。」
「ホッとするのはまだ早いよ。まだ半分残ってる。」
「わかってますって~~。」
一人の主任が背伸びをし、もう一人の主任がそう言う。
「しかし、あれだな。前半に『これは』って人材は少なかったな。」
そう残念がっていうのは俳優部門の主任で、
「そうか?うちに結構ほしいのはありましたよ。」
よく分からなそうにいっているのは歌手部門の主任。
「いや・・そうじゃなくて・・・ほら、スターになるやつって素人の時からスターになる空気って持ってるだろ?」
「ああ、オーラね。」
納得する歌手部門の主任。そんな中、タレント部門主任の椹はキョーコの書類を見ていた。
(・・・いい子で可愛くないわけではないんだが、華がないんだよな・・・。)
本人の前ではいえないが、椹から見ればキョーコはどこにでもいる普通の少女に見える。
「お、そろそろ、後半審査始まる時間だ。」
誰かの主任が時計をみて気付き、
「じゃあ、№31~№61の方を呼んできます。」
女性がそう言うと
「おっ頼むー。」
主任が言葉に甘えて女性を控え室に送った。
「それでは皆様、オーディション会場へご案内いたしますのでご用意くださーい。」
送られたさっきほどの女性がそう報告し
「ひえ~~~。」
「とうとうきた~~~。」
「緊張する~~~。」
受験者は緊張しはじめ、あの子供を投げた女性をガッツポーズして、
「ふ・・・やっと出番ね!!まちくだびれたわ!!」
その表情は緊張には支配されておらず、むしろ自信に溢れている。
「番号順、二列に並んでください。」
そして、キョーコは身を引き締め、
(いよいよ・・・!!)
オーディションに立ち向かう覚悟をした。
そんな彼女を壁に隠れ見ているのは、さっきキョーコに頬を摘まれて引っ張られた女の子。
女の子はキョーコをみると、に・・・と静かに笑ったーー。
「そろそろ・・・後半が始まってるかな・・・」
そう言うのは椅子に座って休憩中の久遠。
「え・・・?何が始まるって?」
そう久遠の横で聞くのは、茶髪に眼鏡をした男性。
「・・・後半。」
「・・・?何の後半?」
「事務所のオーディションの」
「・・・。」
そこまで聞いて黙る男性。
「珍しいな。蓮が事務所のオーディション気にしてるなんて。毎年新人が出てきてやっとオーディションがあったことに
気づくのに。」
黙ったのは久遠が意外なことを言ったためだ。
「誰か気になる人物でもいるのか?」
男性のその質問に久遠は少しの間黙り込んだが、
「・・・まあ・・・そんなところです。」
あえて隠さずに言った。
(キョーコの事だから、大丈夫だとは思うけど・・・もし、『あれ』で、不利な内容になってたら、無理かもな・・・。)
そう考え、久遠は深いため息をついた・・・。
その頃のキョーコたちは、
<それでは皆さん、ひとまず全員舞台の上へ。№31~№46までの方、前列へ。後の方は後列へ。>
そうマイクを通し言われた受験者はその通りに並びだし、
<審査員の紹介の後、皆さん一人ずつ自己PRしてもらいます。>
(・・・あ。)
舞台に上がっていたキョーコは椹にへと気付いて、
椹は目が合ったのに気付くとキョーコが自分に向かって笑顔を見せた。
(やっぱり、いい子だ。)
その笑顔に椹はやっぱりそう思う。
そして、キョーコは審査員の紹介を聞いていたが、あることに気づく。
(・・・ちょっと待て・・・!?LMEの社長さんは!?肝心の社長さんがいないじゃない!!)
そう思った途端、スパーーーンと音が鳴り、花火見たいのが出たので
「「「「きゃあああああああああああ!!」」」」
受験者たちは驚いて叫び、キョーコもその一員で、
十分花火みたいので驚いたが、今度はサンバの独特な音楽がなり、
それらしいお姉さんダンサーたちが出てきて、アンビリバーボーな腰フリダンスを見せる。
当たり前だが、キョーコを含め、受験者たち皆、もうただ呆然するしかない。
「で・・・さっきから気になる、情熱的なお姉さんたちを中を泳ぐようにやってくる。あの人は・・・まさか・・・。」
くるくる回りながらこちらにくる男性を見るキョーコは、
((((まさか・・・。)))
目を疑いたくなり、他の受験者たちも同様。
<え~~それでは皆さんに紹介いたします。>
そう言っている司会者役の男性は顔が真っ赤で、
<こちらが我がLMEプロの現社長でおられる・・・。>
そこまで言うとあの男性が被っていたメキシコ尖がり帽子を回転するように投げ、
<・・・ローリィ宝田です。皆さんヨロシク。>
マイマイクで重低音で挨拶した。
その瞬間、キョーコと受験者は口をカポーンとあけて驚愕した・・・。
修正 5月27日