夫が車を替えた。
26年乗った車は廃屋のガソリンでしか走らない車だったが、クッションがよく遠出も楽だった。
寄る年波には勝てず、駐車場で事故を起こした。
事故車を修理する段階で部品がもう作られていないという現実があった。
もう、本人に運転させるわけにはいかないが、その代わり息子が必要な時は運転するということで「軽」にした。
我が家のひとつの転機なのだと思った。
2024-4-30
短歌 21首
空映す早苗の植わる住吉の田んぼの道に忘れ苗一束
タイミング計りて通る農道はあと5分ある目的地まで
道選ぶことの愉しみわれにあり久々通る遠回りの道
ふとわれに返りてみればこの道も人亡き後に通ることなし
ひと独り彼岸のかなたに逝きたもう桑の実庭に熟れるを見ずに
小半日過ごすパン屋のテーブルに未知なる世界を語るひとあり
サプライズゲストでお願いしときますそういう彼はギタリストなり
現実は切羽詰まっているんだな免許返納の話自然に出てくる
わが胸のこの心臓が止まる時ただそれだけの話それだけの話
本当はあったら便利と抽斗に仕舞いこみたる物の貪欲
夢を見てスイカの苗を植えてみるたわわに重いスイカの黄色
鉢植えですからね、日当たりも少なくてそううまく育たないんですよ!
やわらかく薫るフランスパンを切りメープルシロップをいっぱいかけた
バジルって私の中の異世界をひきだしてくる魔法の香り
青じそであのジェノべーぜができますよオリーブオイルに塩を少々
脳外科の先生の前で訥々と出来事を語る夫に付き添う
いつの間に四半世紀が過ぎたるや愛車に修理の部品もなしに
今度来る車は可愛い深紫愛着はどこかで吹っ切っていく
まだ双葉ヘチマの苗は未来へと伸びようとする力を持てる
雑草の如く毎日伸びていく青紫蘇と三つ葉のやわ葉を摘めリ
なんか変アロエの花が咲かずしてしぼんでいくを朝に見ている
ピンク色小さき花の思い出を辿る10年通う茶店に
あ