短歌

 

2023-9-29

 

パリの記憶

 

パリの空暮れて輝くエッフェル塔また行くことが叶わないかな

 

憧れは次第に嵩じる習いなりセーヌの小島シテとサンルーイ

 

夏の夜の音楽祭の大舞台画面に観入りため息をつく

 

「睡蓮」を展示している美術館オランジュリーにしばし憩いし

 

 

秋さなか草むらにひとつオクラの実みつけて洗わずくちに含めリ

 

柿が熟れ栗を拾った幼き日私の中の光る宝物

 

坂道で滑って転んで大声で泣いてや母に助け求めし

 

門口を掃く役割を与えられ延々続く坂道を掃く

 

裏道は近道なれど薄暗く枝の擦れ合う音もおそろし

 

秋の空四角く小さく切り取られ我が家の秋はそれほどのもの

 

木々伸びてもはや力も及ばねば伐ってしまおう終活哀し

 

わが友はみな吾よりも若くして娘の如し妹の如し

 

火曜日の仲間と今日は呑み会で彼女の作るポテサラ旨し