2023-7-14  21首

 

鳴き初めし蝉一匹と庭木立この静寂は今でこそかな

 

蝉しぐれテレビの音も聞こえないそんな喧噪の日々が始まる

 

夏虫の声かそれとも我がうちの耳鳴りかとも思う騒音の夜

 

美智子さんアハハと笑い94齢を忘れてランチのテーブル

 

ツーカーの返事が返る心地好さ火曜のランチはナポリタンなり

 

加江田への道を辿れば山深き道にほの白き天が広がる

 

この道は今日何人が通りしや濡れた落ち葉の散り敷くなかを

 

助手席に乗れば女王様の席のようサンバイザーの鏡を覗く

 

いっぱしのカーナビとなり車線までこちらを走れとのたまいて吾

 

挙句には間違いナビに引き返すお粗末もある今日のドライブ

 

待ち客の並ぶランチの今日の店料理の量の多さが人気

 

意思疎通できずともよしそれだけが人との交流とだれが決めしや

 

負け戦見終わった後の空しさよ夏虫が急に我がうちに鳴く

 

毎朝の我が遣る水に生き延びて今朝色づいたトマト2個ほど

 

冷奴夏の風物我が家にも黒い器のなかの清涼

 

伸びただけ摘み取り使う青紫蘇の葉の新鮮よ素直にうまい

 

水やりの手を休めてやふと見れば根元に黄色いミョウガの花が

 

冷や汁は我が家流なりお代わり進む夕時の幸

 

定番はキウリ青紫蘇豆腐なりそれにミョウガがひとかけ

 

冷や汁は我が家で食すものなりて腹いっぱいが最高の味

 

若者が心傷つき世を去りて今夜のテレビのニュース哀しき