~ありがとうの酒を造ろう、贈ろう~

5月3日 
福井を代表する酒蔵のひとつ、「黒龍酒造」さんの酒米の田んぼがある
大野市の阿難祖地頭方(あどそじとうほう)地区の景色です。

山間部にあって清らかな水を蓄えた田んぼは、空と山とを映す大きな水鏡になっていました。 なんて美しい。






黒龍酒造さんと県内に20件ある黒龍特約店有志の会の人たちが、自らも田植えや稲刈りに関わりながら
福井の自然、豊かな土地、人々への感謝や愛情をこめて 福井の人たちのためにつくるお酒 「黒龍 あどそ」
その新しいプロジェクトがいよいよ始まりました。



 

「ありがとうプロジェクト 2013」と題された今年の取り組みでは、県内に在住の20代の若い人たちにも関わって頂きます。





公募により選ばれた20数名の人たちに、私たちと一緒に田植えや稲刈りなどを体験していただくのです。





そして秋に収穫された酒米は、蔵元の手で丁寧に醸されてお酒となり、翌年の6月にようやく手元に届きます。





自分たちの手が関わってできるこのお酒を、日ごろお世話になっている方に感謝の心、「ありがとう」の気持ちを込めて贈ろう、というとても壮大で素敵なプロジェクトです。








皆さんの初めての顔合わせにもなる初回は 田植えの日でした。






残念ながら都合で出席できない方がいたので、代わりに私も田植えを体験させていただくことができました。


長靴が土に埋まって取れなかったり、腰を曲げたり起こしたりしながらの作業は
いつも使わない筋肉をフル活用で、なかなか大変な作業でした(^^;)





若者たちに交じってはしゃぎながら(笑) 苗を植えていると
「ねぇねぇ、お酒できたらだれにあげるん?」
という話し声が聞こえてきました。


「ん~・・親?・・・かなぁ。」
「私まだ決めてないよー







今はまだ贈る相手が決まっていない子達にとっても、お酒造りのこの1年ちょっとの時間は
「大切な人、感謝を伝えたい人は誰なんだろう」
と考え、お酒ができてゆくのと共に ゆっくり自分の気持ちの滴を満たしていく時間になるのかもしれないな、と思ったら
楽しそうに田植えをしている姿がなんだかとても愛しく感じました。





きゃあきゃあ言いながら、なんとか田植えを終えて田んぼから上がると、農家さんからの差し入れが!






白むすびときな粉をまぶしたお結び
大根の漬物
大野の郷土料理、里芋の煮っ転がし


きな粉は、秋に実るお米の色に見立てたもの
このきな粉のお結びのように、立派な米俵ができるほど豊作でありますように!
という想いをこめて昔から農作業のときに食べられていたのだそう。




なるほど

土地土地の食の文化は、その生活や人の想いと密接に関係して生まれ、育まれ、ちゃんと繋がっている




地元の人には何と言うことのない話でも
こういうお話が聞けることも、とても有難いことです。




忙しい農作業の時間を割いて、この企画に携わり いろいろ大変な準備やお気づかいをいただいたり
何より、大事に大事にお米を育ててくれる農家の方々には本当に頭が下がります。



酒屋さん一年生の私も、今回できる限り一緒に参加させていただき
皆さんと一緒に「ありがとう」の気持ちを伝えるお酒づくりを楽しんでいきたいと思います。






強く大きくしなやかに育て!