- カーテンの陰の死
- \1,100
- 株式会社 ビーケーワン
発見された刺殺体は頭皮が剥がされていた。
偶然殺人現場に居合わせたマージョリーは、自分の下宿に犯人と同じ服装をした人物が入ってくるのを目撃する。
この下宿屋には、変り者のピアニスト、若手の新聞記者、作家を名乗る青年、酒浸りの元医者、盲目の元美容師など、一癖ありそうな連中が住んでいた。
そしてその住人の一人が、カーテンで仕切られた玄関で、背中にナイフを突き立てられて殺される。
しかしそれはカーテンで仕切られていたというだけで、実質的には密室状態であり、なんと同じ建物で七十五年前に起きた迷宮入り事件とそっくりだったのだ…。
ハースト警部とツイスト博士が密室殺人の謎に迫るシリーズ第三作目。
本格ミステリ好きを唸らせる設定が上手い。
そしてもうちょっと気の利いたタイトルはなかったんだろうかと思わせる手口も上手いことにしておこう。
冒頭に起こるのは猟奇的な殺人、それを室内へと導き密室殺人を触発させ、そして過去の迷宮入り殺人とだぶらせるテクニックには、こにくいまでの上手さがある。
容疑者の設定にもミステリらしい魅力があった。
しかしあまり広げすぎたものを畳みすぎて小さくまとめてしまうと、大した事件ではなかったように思ってしまいます。