死が招く
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株式会社 ビーケーワン


内側から錠がかかった密室。書斎で死んでいるのはミステリ作家。
その様は煮えたぎる鍋に顔と両手を突っ込み銃を握りしめていた。
傍らの料理はまだ湯気が立っている。しかし何故か遺体は死後二十四時間以上が経過していた。
しかもこの現場の状況、作家が構想中の小説『死が招く』の設定とそっくり同じではないか…。

登場人物にはミステリ作家に奇術師など、クセのある者揃い。
犯罪学者アラン・ツイスト博士シリーズ第二作。



『フランスのカー』だけあって、設定からしてあの作品を彷彿させます。
だいたいこれで「ポール・アルテと言えば密室と奇術師」というのが固まってきました。
「これは新本格ミステリ(海外ではそうは言わないだろうが)の幕の内弁当や~」というぐらい、好きなおかずが並べられています。

食べた感想も幕の内弁当らしいものでした。
密室トリックというのは解決のときは単純なものですから、大きく広げた風呂敷をどれだけ簡潔に畳むかが作家の腕のみせどころです。
その答えを「驚きの解答」と受け取るか「論理的帰結によるシンプルな答」と思うかは、読んだ者の感覚です。