枇杷は甘いかスッパイか -9ページ目

枇杷は甘いかスッパイか

遠く離れた地に住む母。その介護の喜怒哀楽。

アサコが施設から帰ってきた。
「お茶ば出してやらんね。」
相変わらず、施設の人を歓待しようとするアサコ。
(いいことなんだけどねえ。周りの人間はイライラするわなあ。)
 
トイレへ行く時、
「チュッチュッ、漏れると。」
と言って頑張って歩くアサコである。
しかし、その足取りはとても遅い。
手すりを持って前進しようとするが、手すりに掴まる手だけが交互に前に出るだけで、足が動いていない。
なぜ、前に進まないのか、不思議に思っている。
 
 
今日は、記憶が大混乱している。いつものごとく、ヨシトは故郷島攻撃を受けてしまった。
頭の中では、今、故郷島にいるので、
「八田網の船の音が聞こゆっと。」
「宮の浜はどうなっとっとか?」

「サダマツは船に乗ったとか?」
などなどなど・・・。
今ここが、○○市××だと言っても、全然信じない。
混乱してしまうだけだった。
参りました。
「アサコは故郷島のことしか覚えていないのね。」
とヨシトが言うと、
「それしか覚えとらんと!」
との返事。
頭がハッキリしていて冗談を言っているのか、記憶の混乱なのか・・・。
2018年末、枇杷の花を見に行くアサコ