枇杷は甘いかスッパイか -30ページ目

枇杷は甘いかスッパイか

遠く離れた地に住む母。その介護の喜怒哀楽。

朝起きたら、紙パンツがパンパン、ギリギリ。
やはり夜中に起きた形跡はなく、体を起こすのも辛いのだろうか。
また今日ももう水シートを洗わなければならない。
紙パンツの見直しが必要かな。
とヨシトは考える。
 
毎度おなじみの
「ここはどっか?」
から始まり、アサコは同じ質問を繰り返す。
そして、故郷島の宮の浜のことばかりを話す。
東京に住んでいたこと、今長崎県○○市××に住んでいることを忘れてしまった。
寂しい限りだ。
とヨシトは思う。
 
たまに
「ここは福江か?」
と訊いてくる。
「住んだことあるの?」
とヨシトが訊くと
「なかと。」
とアサコは答える。
なぜそんな質問をするのか、と訊いてみてもその答はアサコ自身もわからないようだ。
福江はやはり、アサコの憧れの地だったのか?
それとも若い頃に憧れた彼氏でもいたのか?
 
トイレに行く時、後ろから体を支えながら、
ヨシトがアサコのお腹の脂肪を掴むと、アサコはとても嫌な顔をして、
「ハア!」
とヨシトの手を振り払う。
視覚、聴覚に比べると、まだまだ触覚は衰えていないようで。
 
 
朝、昼、夕とよく食べるアサコだ。
大した運動もしないのに、毎度よくおなかに入るものだ。
とヨシトは感心するが、
だから、体重が増え、お腹の脂肪がぶよぶよになるんだよ!
とヨシトは少し心配にもなる。
 
夜、アサコはお茶をたんまり飲んでいたので、ヨシトはアサコをちょっと起こしてトイレに連れて行った。
 
2017年3月、枇杷の木を見に行くアサコ