※Flair 58のビギナーズガイドをYouTubeにアップしました。

英語字幕版ですが内容は把握できると思います。

 

 

 

 

1. Flair 58は最高の手動式エスプレッソマシン!

 

Flair 58は手動式エスプレッソマシンの中では現在最高のマシンだと思います。

 

 

一番の特徴はブリューヘッド(お湯を溜めるシリンダー)を電気式で余熱するという点です。

これにより他の手動式エスプレッソマシンと比べて温度管理が格段に楽になりました。

 

高温状態を維持できるので、浅煎り・中煎りといった高温を必要とするコーヒー豆も、今迄以上に美味しく抽出できます。

 

またポルタフィルターに業務用エスプレッソマシンと同じサイズの58㎜を採用した事により、より広く薄いコーヒー粉の層から効率良くエスプレッソを抽出する事が可能になりました。

 

そして市販されている58㎜サイズの様々なバリスタツールの中から、自分好みのツールを選んで使用できるというのも魅力です。

 

 

 

2. 一番の問題点は『抽出が難しい』という点!

 

そんな良い事尽くしに思えるFlair 58ですが、問題点が全く無いというワケではありません。

一番の問題点は『抽出が難しい』という点です。

 

手動式エスプレッソマシンの最高峰、念願のFlair 58を購入して気分は最高!これで今日から自宅で本格エスプレッソを味わえる!・・と喜んだのも束の間、早速抽出してみると『ビシャ~ッ!』と辺り一面に飛び散る飛沫。よくある光景です。

 

そんな今となっては楽しい思い出の時期が過ぎ、クレマのあるエスプレッソを抽出できるようになったけど・・何だか美味しくない。でもエスプレッソってそんなに飲んだ事ないからこんなものだよね?

 

↑特に初めて購入するエスプレッソマシンがFlair 58という方は、このような問題を抱えていらっしゃる方が多いように感じます。

 

Flair 58は抽出マニアが夢中になれる程のポテンシャルを有するエスプレッソマシンです。そのことは裏を返せば『抽出が難しい』エスプレッソマシンとも言えます。

 

 

 

3. 問題解決の近道は真似ること!

 

それでは『抽出が難しい』という問題を解決するにはどうすれば良いのか?というと、先ずは上手な人を真似ることです。

 

こんなブログを書いている私もFlair PRO2を購入した時は、当然ながら皆さんと同じエスプレッソ初心者でした。

エスプレッソ抽出の知識はゼロでしたので、何度も失敗を繰り返してはコーヒー豆を随分と無駄にしました。

 

私はFacebookのFlairコミュニティやInstagramで外人さん達と交流しながら、抽出の上手な人達を真似ることで少しづつ問題を解決して今に至りました。

 

勿論、私の抽出プロセスが絶対に正しいという訳でもなければ、必ずこうしなければならないという訳でもありません。

 

Flair 58の抽出について現在困っている方や、これからFlair 58を購入しようと思っている方へ、アドバイスの一つと捉えて頂ければと思います。

 

 

 

4. Flair 58で極上のエスプレッソを抽出する方法!

 

それでは抽出全体の基本的な流れについて、私のワークフローを説明していきます。

 

 

それぞれの項目の詳しい説明は、また別のブログで取り上げたいと思いますので、今回はざっくりと進めてまいります。

 

 

① ポルタフィルターにパックスクリーンを入れて、Flair 58本体にセットする。

 

 

 

Flair 58本体を余熱する際に、ポルタフィルターも一緒に余熱します。

 

 

② PCBコントローラーのスイッチをONにして余熱を開始する。

 

 

温度設定については使用するコーヒー豆に合わせてください。

今回は中煎りのコーヒー豆を使用するので、温度設定はMid(3段階中2番目)にセットします。

 

 

③ グラインダーでコーヒー豆を挽く。

 

この作業が極上のエスプレッソを抽出する上で最も重要な作業となります。

抽出の90%はここで決まると言っても過言ではありません。

 

 

その鍵を握るのがグラインダーです。

 

Flair 58でエスプレッソを抽出する場合、エスプレッソに対応した高性能グラインダーを使用する事が絶対条件となります。

一口にエスプレッソ対応のグラインダーと言ってもピンからキリまであるので、どれでも良いという訳ではありません。

 

また調整段数の多さを謳うエスプレッソ対応グラインダーもありますが、幾ら調整段数が多くても挽いた粉の粒度がバラバラでは意味がないので、グラインダーを選ぶ際には注意が必要です。

 

おそらくFlair 58の抽出で悩んでいる方の多くは、使用しているグラインダーの性能に原因があるのではないかと個人的には感じています。

 

私はCOMANDANTE C40 + REDCLIXを使用していますが、少なくともこれと同程度の性能を持つグラインダーを使用することを強く推奨します。

 

 

今回使用するコーヒー豆はGuatemala(中煎り)を20gです。

 

 

コーヒービーンセラーがあると、毎回コーヒー豆を計量する手間が省けて便利です。

チューブに毎回使用する量のコーヒー豆を小分けにして保存するツールです。余分な空気に触れることも無いので、状態良くエイジングすることができます。

 

 

粒度を調整する際のポイントとして、1click(1ダイヤル)動かすと抽出時間が何秒変化したか?を記録しておくことをお勧めします。抽出時間が長過ぎた、または短過ぎたという時、粒度を調整する際の目安になります。

 

 

④ 余熱が済んだポルタフィルターにドーシングファンネル(ドーシングリング)をセットし、挽いたコーヒー粉をバスケットに入れる。

 

 

ドーシングファンネル(ドーシングリング)は各メーカーからマグネットタイプ、非マグネットタイプ等様々なタイプがリリースされていますので、それぞれお好みの物をチョイスしてください。

 

 

 

バスケットの中でコーヒー粉が塊の状態で不均一になっています。このままタンピングすると100%抽出に失敗するので、次の作業でコーヒー粉の層を均一な状態にします。

 

 

⑤ WDTツールを使用してコーヒー粉の層を均一にする。

 

グラインダー選びの次に重要なポイントが、このWDT(Weiss Distribution Technique)です。

コーヒー粉を撹拌しながらバスケットの中に均一に配分して、全てのコーヒー粉から満遍なく抽出されるようにする作業です。

 

ここがキチンと処理されていないと、圧力を掛けて抽出する際にコーヒー粉の層が薄い部分だけお湯が通過します。

お湯が通過したコーヒー粉の層は過抽出、お湯が通過しなかったコーヒー粉の層は未抽出となり、不味いエスプレッソの原因となります。

 

クレマがあっても不味いと感じるエスプレッソは、大抵この状態になっています。

 

 

WDTツールはコルクと3Dプリンタの清掃用針で自作できますが、最新のWDTツールはかなり高性能なので既製品を選んだ方が間違いありません。

 

各メーカー毎に特徴があるので、別のブログで詳しく取り上げたいと思います。

 

 

小さな同心円を描きながらバスケットの中のコーヒー粉を均一に配分していきますが、写真と文章だけではイメージし辛いと思うので、参考の動画を用意しました。

 

 

このような感じで行ってみてください。

やり過ぎは駄目、やらな過ぎはもっと駄目。丁度良い塩梅を見つけてください。

 

 

⑥ ディストリビューターツールでコーヒー粉の表面をならす。

 

WDT作業を終えたらディストリビューターツールを使用してコーヒー粉の表面を平らにならします。

 

 

 

ディストリビューターツールも各メーカーからリリースされています。

 

 

バスケットの上にセットし適度に回転させることで、コーヒー粉の表面を平らにならしてくれるツールです。

 

 

注意点として、このディストリビューターツールはあくまでもコーヒー粉の表面を平らにならす為のツールです。

これでコーヒー粉の層の内部が均一に配分されることはありません。

 

またディストリビューターの深度はタンピング深度よりも浅くする必要があります。(タンピング深度よりディストリビューターの深度が深いと、タンピングよりも強い圧力を掛けている事になります。)

 

※余談ですがWDTでの配分が綺麗に行われている場合は、この作業をしなくても綺麗にエスプレッソを抽出することができます。

私はツールマニアなのでディストリビューターを使用しています。

 

 

⑦ タンパーで水平にタンピングする。

 

タンパーを使用してバスケット内のコーヒー粉に圧力を掛けながら『水平に』タンピング(押し固める)します。

 

この『水平に』というのがポイントで、コーヒー粉を斜めに押し固めてしまうとコーヒー粉の層に高低差ができてしまい、抽出する際に低い方に圧力が集中することになります。

 

お湯は圧力が集中するところを通過することになり、過抽出と未抽出の部分ができてしまうので、その結果不味いエスプレッソが抽出されてしまうのです。

 

水平に押し固めることにより、コーヒー粉全体から均一に抽出できるので、バランスの取れた素晴らしい味わいのエスプレッソを味わうことができます。

 

 

各メーカーから様々な種類のタンパーがリリースされています。

 

 

このタンパーはスプリング内蔵式で、毎回同じ圧力で水平にタンピングすることができます。

現在はこのようなスプリング内蔵式のタンパーが主流になっており、

 

 

このような押し易い形状のタンパーもリリースされています。

 

私は機能面からスプリング内蔵式のタンパーを好んで使用しますが、

 

 

従来のトラディッショナルタンパーも好きで良く使います。

このタイプは何と言っても美しいデザインが魅力です。タンピングという作業の結果に自分の技量が反映されるので、抽出マニアにとってはやはりこのタイプのタンパーは外せません。

 

 

スプリング内蔵式のタンパーはバスケットの縁にタンパーの傘が載る構造になっているので、水平にセットすることができます。

 

 

タンピングの圧力についてですが、コーヒー粉の層の内部に空気の隙間が無くなる程度の圧力で行ってください。

ネットでタンピングの圧力を検索すると色々な数値が出てきますが、結局のところ決まった数値は無いというのが結論です。

 

私が今回使用しているこのタンパーには強・中・弱と3種類のスプリングが付属しており、その中の強(30lb/約13.6kg)を使用しています。私が所有している他のメーカーのスプリング式タンパーも30lbなので、同じ圧力で統一しているというのが

理由です。

 

 

最後にパックスクリーンをセットしてパック準備は完了です。

 

 

⑧ Flair 58本体にポルタフィルターをセットする。

 

 

圧力を掛けた際にお湯が漏れ出さないように、しっかりとセットしてください。

但し『締め過ぎは厳禁』です。

 

 

⑨ エスプレッソグラスをセットする。

 

 

抽出したエスプレッソがキチンとグラスに入るように、慣れるまでは前と横からグラスの位置を確認してセットしてください。

 

 

⑩ ブリューヘッドにお湯を注ぎエスプレッソを抽出する。

 

お湯の温度は使用するコーヒー豆に合わせて変わってきますが、今回は93℃のお湯を注いでいます。

 

今回の抽出の様子を動画にしましたので、是非参考にしてください。

 

 

このように抽出されたエスプレッソは、

 

 

自分で言うのもなんですが、とても美味しい極上のエスプレッソです。

Flair 58を使いこなせれば、自宅でプロ級の一杯を味わうことができますよ。

 

 

それでは皆さん、楽しいコーヒーライフをお過ごしください。

 

 

 

 

↓このブログで今回使用したバリスタツールです。