タケシマキリンソウのEMS突然変異手順

1 突然変異処理手順  ②植物の採取・前処理について

 

タケシマキリンソウへの突然変異の植物選択で多種のサンプルが用意できたでしょうか。無い場合は入手可能な種での開始も出来ますが、すでに雑種(自然種の場合大多数が交配種となっています)では目的変異が出るかの予測は難しくなります。

 

植物の採取

①  植物採取

記録:採取日、場所、周囲の状況が判る写真

   採取場所の現地状況の写真

   周囲の同種の生育が判る全景、近景、個体写真

 

採取方法:

株採取の場合:できるだけ根部の土壌も一緒に採取、新聞紙で包み、雑誌に挟み折れないようにして袋に入れる

枝取り採取の場合:地際茎より採取したら新聞紙で包み、雑誌に挟み折れないようにして袋に入れる

 

持ち帰りまでの保管方法:

高温になる場合は袋は開き空気の通りを良くする

折れないように持ち帰る

 

枝の採取は株元から採取する

採取した枝 ごみを除去する

採取袋に入れて折れないよう新聞紙等で包む、あるいは雑誌に挟む

①  保管

  根付採取植物は、ごみを除去しポット植え、肥料は与えない

  枝取り採取品は水洗して汚れを流す、水耕栽培 肥料は与えない

②  前処理

  実験開始3日前程度より実施

サンプルの実験準備

  1回の試験に必要なサンプル量

  試験カット個体数:標準として100~300体

  標準試験体サイズ 茎径:2mm以上 長さ:5cm~8cm 

  葉数:1試験体4枚以上

  花序(花房)は使わない

  茎は木質化していてもよいが発芽が望めるもの(下写真の右2個)

 

③  実験前処理

-1  枝を5cm~8cm程度にカットする

 ・挿し芽側(培地側)の葉を半分程度 茎際で折り曲げて取る。

(注意):筋取り状に取ってはいけない・・

     理由:葉付け根の葉・根の生長点を取り除いてしまうため

 ・花序は使用しない(下写真左側2個の花房)

 -2  傷口の乾燥

    ・カット後、風通しの良い日陰場所で1日放置

-3 殺菌

    ・漂白剤1000倍液に6時間浸漬、後3回洗浄

    水洗したものは水を切りキッチンタオルで水分を取り除く

    キッチンタオルに包み、袋に入れてラミチップPP袋で密閉保管 

    冷蔵庫の野菜庫で保管

-4 保管

     ・保管は縦置きに袋の底に水分が溜まる場合は、

     サンプルに水が多い、キッチンタオルできれいにふき取る

-5 保管期限

    ・おおよその保管期限は、切口の変化を見て決める。

     保管継続可能:淡緑色の切口、枯死葉が無い事

     保管終了:切口が褐色化、葉の枯死が複数発生

   ・保管中に葉が褐色に枯死した場合は取り除き、一度乾燥後に早く使用する

 

当ブログは化学突然変異実験の手法紹介であり、参考にして実験した結果を保証するものではありません。

試験は発がん性物質を使いますので、適合資格者が取扱い責任を果たし、自己責任で行動してください。

 

次回は

EMS(エチルメタンスルホン酸)突然変異実験

③試験の準備・・・試験に使う器具について解説します。

 

東京都市大学 総合研究所 客員研究員 山下律正

連絡先:yukistr@oboe.ocn.ne.jp  

問合せは、“化学突然変異の件”とタイトルを付けてください

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