発語が遅いのが心配で、

進学前に、

療育センターに通った息子。

 

いろいろな検査の末、

喋らなくても、

理解力は年相応。

という判断で、

 

進学等は、

先生に一言伝えておくくらいで、

一応様子は見てゆくけれど、

特別なことは、

何もしない。

 

ということになった。

 

 

一方で、

 

療育センターで、

テストを重ねてゆくうちに、

言葉の遅れよりも心配。

とされたのが、

 

赤ちゃんの時に、

人見知りがなかったこと。

 

 

私にとっては、

2人目子育てで、

上の子のスケジュールに合わせて、

連れ回すことの多かった息子は、

 

誰にでもニコニコと愛想が良く、

いつでもどこでも、

場の空気を和ませてくれるので、

ありがたかった。

 

1人目と2人目は、

えらく違うもんだ。

と思いつつ、

楽に済んで助かった。

くらいにしか、

思っていなかったのだけど、

 

発育の段階を進んでゆく時に、

日頃世話を焼いてくれる人との間に、

愛着の絆ができることは、

とても大切なことで、

 

それに伴って、

人見知りが起こることは、

当たり前のことで、

むしろ、

順調な成長の目安で、

必要なこと。

 

そういうことがないというのは、

非常に心配な状態なのだ。

と説明を受けた。

 

 

赤ちゃんの頃の息子は、

 

毎日のように通る会社の入り口で、

警備員さんたちに覚えられて、

にこやかに手を振られるので、

 

なんでかと思ったら、

 

息子が、

自転車の前の席から、

通りすがりの人みんなに手を振っていた。

 

とか、

 

駅の通路で、

やたらめったに、

人から、

「かわいい赤ちゃんね」

なんてしょっちゅう、

声をかけられると思ったら、

 

抱っこ紐からずっと息子が、

ニコニコと手を振っていたらしい。

 

そんなエピソードが絶えない子。

 

 

人への興味があって、

全人類みんな大好き!!

 

ママとの絆も、

興味がない。

という感じでもなく、

 

ママも、

全人類の中にちゃんと入っていて、

ちゃんと大好き。

 

でも、

 

他のみんなのことも大好き。

 

 

人のことが好きで、

愛想の良い息子のことが、

なぜ、

そんなに問題なのかな?

 

って、

最初は、

不思議で仕方がなかったのだけど、

 

センターの人曰く、

 

幼いうちは、

かわいいで済みますが、

 

人と適切な距離が取れない子の、

可能性があります。

 

人が、

1人になりたいと思ったり、

距離を置きたいと思われて、

さり気ないサインを出していても気付けずに、

ずかずかと近づいていって、

 

嫌われたり、

問題になったり、

 

極端な場合、

悪気がないのに、

事件を起こしてしまうなんてことも………。

 

 

そう言われて、

 

あぁ、やばいヤツだ。

 

ようやく理解できた。

 

 

幸いまだ、

その頃の息子は幼くて、

 

人との距離が、

適切に取れないことが原因で、

ひどく傷つく経験を、

していなかったので、

 

じゃぁ、

これからどうしてゆこうかな。

って、

考えて取り組むことができた。

 

 

とりあえず、

センターで教えてもらった、

 

人が、

成長とともに、

誰から言われるわけでもなく、

会得してゆく、

適切な人との距離というものを、

 

きっと、

自然には会得できないので、

 

あえて、

言葉にして教えてあげてください。

 

というアドバイスを元に、

 

意識的に、

注意して欲しいことを、

会話の中に、

組み込んでゆく。

 

 

言葉が不得手な息子は、

親愛の情を、

体をくっつけて、

示すようなところがあったけど、

 

前ならえをして、

お友達と、

お話しする時は、

この距離を守ること。

 

とか、

 

肩とか手とか、

仲の良いお友達でも、

触って良い場所が限られていて、

そこも、

嫌がったら次から触っちゃダメ。

 

とか、

 

初対面の人と、

仲良くなってからでは、

おしゃべりする距離が違うこと、

なんかを、

 

向き合って、

繰り返し、

話しかけた。

 

ケースバイケースも、

言わなくてもわかるわけではない前提で、

 

気づけば、

全部、説明する。

 

 

私への接触も、

他の人に、

同じようにやってはいけないようなことは、

その場で注意。

 

きょうだいたちにも、

嫌と思うことは、

どうだったら大丈夫なのかとセットに、

どんどん伝えるように、

協力してもらった。

 

たまに、

女きょうだいに、

よってたかって、

「それはキモい」

「あり得ない」

って責められてるけど、

 

きょうだい喧嘩になっても、

プイってそっぽ向いて終わりじゃなくて、

 

私はこうされたことが嫌だった。

こうあるべきだと思うし、

君のことが嫌いで言ってるわけじゃないからね!

次気をつけてよね!!

って、

 

本人が理解して頷くまで、

根気強く説明してくれていて、

仲直りの道筋をつけて、

おさめていたのを見て、

 

よくわかってくれている、

きょうだいの存在が、

ありがたくて仕方がない。

 

 

前もって、

こういうタイプの子だと、

言われていることで、

 

基本、

好きな人に対して、

良かれと思ってやっている。

というのがわかるから、

 

家族としては、

人から理解されなくて、

無碍に扱われたら、

かわいそうだなって思えて、

手間でも説明してあげようって、

動けているし、

 

本人も、

根っから人が大好きで、

知らないうちに嫌われたくない。

って思ってるから、

 

好き勝手言われて、

気持ち良くないこともあるだろうに、

話は前向きに聞いてくれる。

 

きょうだいの友達と会っても、

日頃、

女子の願望が込められた教育が、

なされているから、

「紳士だね」

なんて言われて、

まんざらでもなさそう。

なんてこともある。

 

 

歳とともに、

人間関係も複雑になってきて、

 

なんとなく嫌とか、

 

時と場合によって、

同じことも、

良かったりダメだったり、

 

こういう場合は……、

ていう可能性の幅が、

際限なくなってきて、

 

説明している側のこちらだって、

???

ってなることもあって、

一筋縄に行く問題じゃなくなってきている。

 

 

そんな中でも、

 

思春期の今、

 

器用に、

そつなく立ち回ることはできなくても、

 

対人関係で問題を起こすこともない。

 

 

何かの指標があるわけじゃないので、

はっきりとはわからないけど、

 

まぁ、

そんなもんじゃないかな。

って思える程度の、

 

普通の範囲に、

収まっている感じ。

 

 

とにもかくにも、

 

人間大好きな息子が、

変わらず人間大好きなまま、

人のために役立とうと動き回ったり、

頑張れているので。

 

親の目から見れば、

順調♪だ。

 

 

赤ちゃんの然るべき時期に、

人見知りをしなかったからといって、

即、

問題を抱えている、

ってわけじゃなくて、

 

私の肌感覚では、

人と比べれば不器用なのかも……。

と思う程度の問題。

 

丁度アドバイスをもらったので、

念のために、

日頃の声掛けを意識してきただけで、

 

これをやっていなかったら、

とんでもない問題児になっていた、

なんて、

単純なことではないと思う。

 

けど、

 

言われるまでもなく、

自然と身につけることが、

できないのかもしれないけれど、

 

言われればわかって、

 

傷つくことが減らせたり、

アドバイスに耳を、

傾けることができている。

 

今とりあえず、

無事に、

毎日が過ごせているのだから、

 

これで良い。