夜更けだというのに、
微かに聞こえてくる、
おしゃべりの声。
いつもだったら、
早く寝なさい!って、
注意するところなんだけど、
その日は、
何を喋っているのか、
大体想像ができたので、
そっとしておいた。
下の子が、
学校から帰ってくるなり、
部活の人間関係が、
思うようにいかないって、
ものすごく落ち込んでいて、
私の顔を見るなり、
胸の内を吐き出してきた。
特に何かで揉めている、
とかではないようなのだが、
要は、
下級生が、
自分達が後輩だったときに抱いていた、
先輩方素敵♡
カッコいい!!
っていう状態でないことが、
あるきっかけで、
伝わってきてしまった。
ということらしい。
フレンドリーにしすぎた?
仲良くなろうと思って、
自分たちがやってもらってた以上に、
親睦会とか企画してきたことが、
かえって仇になってる?
悶々とした思いを抱えて、
帰宅の道中、
ずっとぐるぐる考えてきたらしい。
とりあえず話を聞きながら、
親としては、
そういった人間関係も含めて、
様々な経験ができることも、
学校や部活に、
期待している面もあるので、
どんどんやれやれ〜〜って感じ。
親が、
介入しないといけないような、
よっぽどの事態でもない限り、
基本、動くような事はない。
うちの子が深刻そうな語り口調で、
訴えてくることも、
側から見れば、
先輩だからと無条件で、
尊敬されるわけでもないことなんて、
一般的なあるあるに感じられたので、
そういうことってあるよね〜〜、
あんたも大変だね〜〜。
といったテンションで返していたら、
親にしゃべっても仕方がない。
といった不満の残る顔のまま、
でも、
一通り吐き出して、
とりあえずはスッキリしたけどさ、
といった感じで、
いつものやるべきことに戻っていった。
そんなこんながあった日の、
夜だったので、
寝る時間が過ぎたというのに、
聞こえてくるおしゃべりには、
おっ、やってるな。
って、心当たりしかない。
『お姉ちゃん相談室』
親に打ち明けても、
満足な解決が得られなかったとき。
お姉ちゃんは、
少し前に自分と同じような経験をしている、
誰よりもあてになる理解者なのだ。
何を話していたかは聞こえないけど、
帰宅時のあの様子からして、
あの話題なのはまず間違いない。
親が「そんなもんだよ」と言っても、
親はわかってくれない、
と不満を抱くのに、
姉が「そんなもんだよ」と言えば、
そうなのかぁ。
ってなるのが本当にずるい。
もちろん、
姉のフォローもなかなかのもので、
大抵、
自分の経験談が即座に出てきて、
かなり具体的だから、
納得させられてしまうのだ。
でも、
私だけでは間に合わないようなことも、
今まで、
何度も救いあげてくれてきたことも事実。
夜眠って朝起きたとき、
また元気に、
学校に行く気になってくれるのだから、
こんなにありがたい事はない。
とはいえ、
もうそろそろ……という時間になったので、
大きなクマのぬいぐるみの口を借りて、
「朝起きれなくなるぞ〜〜!」
って、一言入れた。
「それ貸して〜〜!
抱っこして眠る〜〜」
下の子の気持ちが軽くなっているのを確認。
「お姉ちゃんがいてくれて助かるね」
下の子がうんうんって頷いて、
上の子が満足げな顔をした。
毎日一生懸命頑張って、
疲れている2人だから、
すぐに静かになる。
きょうだいの絆は、
知らない間に育ってきて、
今では心強い武器の一つになっている。
親としてできる事は、
一生懸命やってきているつもりだけど、
完璧じゃないから、
うまく穴を埋めてくれている感じ。
子どもたちがそれぞれ、
きょうだいがいて良かった。
と思ってくれるのなら、
私の滅茶苦茶だった日々も、
報われる気がするのだ。