新学年が始まるこの時期に、
子どもたちの間で、
特に盛り上がる話題。
それは、
自己紹介対策。
食事時など、
みんなが集まったタイミングで、
誰かが、
「明日自己紹介だわ」
とでも、
ぽそっと呟けば、
何を言おうか。
以前こんな話をしたら、
反応が良かった。
こんな事を言っていた人がいて、
一発で覚えた。
なんて、
次から次へと、
みんなの口を突いて、
話が溢れてくる。
新しい学校に入りたてだと、
最初の掴みが肝心だから、
これとこれを言うと良い。
この話題は、
もうちょっと経った時のために、
今回は使わずにおこう。
学年が上がって、
ちょこちょこ知り合いがいる、
クラス替えの自己紹介だと、
今回はこんなことも言ってみようか。
こう言えば、
反応してくれる子がいるかも……。
といった、
緻密な作戦会議になってゆく。
自然と、
「初めまして、〇〇です…」
等々、
練習が始まると、
みんなから、
忌憚のないツッコミが入る。
一文は短く。
親しみを持ってもらえるように、
明るい雰囲気で。
この話題は、
こう誤解する人も出てきそう。
その言い方は偉そう。
それは嫌われるよ。
なんかちょっと違う……。
ふと思いついた、
8〜9割がたのアイディアは、
湧いては潰される感じ。
食事時を終えて、
寝るまでの間に、
散発的に意見が、
家のあちこちで飛び交って、
大抵、
無難かつ、
ちょっとは印象に残りそうな、
練りに練られたシナリオが完成する。
次の日の帰宅時には、
みんなの協力の対価として、
「どうだった?」
「うまくいった?」
「みんなの反応は?」
と、
質問の嵐に見舞われる。
とりあえず、
無事に終わったと、
ホッとした顔を見せて、
自分の自己紹介の報告と、
印象に残った、
友達の自己紹介など、
いくつかエピソードを語ってくれれば、
みんな満足だ。
最近は、
さまざまなタイミングで、
自分のことを、
みんなの前で発表する機会があるから、
最初から、
あれもこれもと、
使い切ってしまわないで、
いくつか、
意外な特技などの話題を、
取っておくことも、
大切な作戦の一つみたい。
時代の流れなども鑑みて、
持てるコマのうち、
どれをどのように使うのが、
より効果的か……。
いやぁ、
すごく良いものを、
磨かせてもらってるなぁ……。
その年々ならではの、
親の想像もつかない方向に、
話が転がってゆくのを、
眺めているのが、
面白くてたまらない。