平成13.2.20花神社刊行
山口昭男句集『書信』


「最澄と天台宗のすべて」展を観てきました。天台大師智顗が天台山へ修行に入ったのは今の僕と同じ38歳の時と知り、へーと思いました。
僕は、随分のんびり生きてるなぁ…、良いのやら少し焦った方が良いのやら。

智顗と最澄の肖像画が素晴らしいので行ける方はぜひ。山口昭男さんの句集『書信』を読んでみます。最近数回読み直したのですが、大変面白かったです。

山口昭男句集『書信』

トマト売る老婆の声は高くなり

トマトでござい。絶対売り切るという強い意志。

蜩や膳に煮付を足しに来る

お、煮付がきた、と心で呟き。蜩の効果か美味しそう。

ポケットの多くある服蘭の秋

嬉しそう、楽しそう。季語により気分のよさを感じさせてくれます。

黒板を一気に拭きて寒林へ

消す、じゃなくて拭く。

知らん顔して柿捥いで行く僧よ

帰りにももう一つ。

黄あやめを見飽きて水を見てゐたり

水も眺めていると結構楽しい。黄の一字が目に鮮やか。

春風や掌より跳び出す車蝦

一番好きな句。生命がいきいきしている。この春風の付け方は勉強になる。

春泥に光のうすくのつてをり

うすく、が良い。たしかにそんな感じ。

隙間風みんなでピザを食べてをり

冷めないように。隙間風なら阿波野青畝〈隙間風十二神将みな怒る〉も好きな句。

龍の玉影を離れてゐたりけり

覗いて楽しい龍の玉。

句集は読み返した数だけ発見がありますね。