2021.10.10ふらんす堂刊行
深見けん二句集『もみの木』


引越しをしてから毎朝5時に起き、朝食を作り、散歩をしています。同じくお散歩している人達、犬の散歩、釣人、ジョギング、カヤックの練習、鷺、鴉、雀や跳ねる鰡を見かけます。
散歩はもしかしてすごく精神の健康に良いのでは、しかも結構楽しい。先日は公園に集まって太極拳の練習をしている人達を見かけました、世の中には楽しい事が案外たくさんあるみたいです。

久しぶりのブログは深見けん二さんの句集『もみの木』を読んでみます。人生を楽しみ、俳句を楽しんで生きた人の句集は穏やかで美しい。

深見けん二句集『もみの木』

朝顔のそのまま咲いて夕間暮

ちょっと柔らかになった朝顔が吹かれながら。穏やかな、羨ましい境地。

磐梯山日当りながら時雨れけり 

福島には旧堀切邸という観光名所があるみたいです。堀切くんに今度連れて行ってもらおうと思います(彼の家では無いらしいけど)。あと会津中将が飲みたい。

快心の君の笑顔や初夢に 

イヒっ。

春眠の覚めて九十七となり 

胡蝶の夢みたいに美しい。

又別の蝶来て庭に輝ける 

蝶に会う。

その人のコートを脱げば花衣 

それもまた花。

取り分くるとても二人や桜餅 

なんて言いながらもニコニコ。

ここに又出会ひ頭の蟻と蟻 

深見さんと蟻と蟻。美しい景。

時雨るるやケアのランチはオムライス 

介護を受ける事を前向きに詠んでいるところがこの句集の素晴らしく、新鮮なところ。きっとあたたかな施設だったのでしょう。

一輪は少し離れて初桜 

君もまた、なにかにはげみ。凛。

木製の新聞受や藤の花 

藤によってほのかに蝶や蜂、さまざまな生き物や明るさも。

カーテンをふくらませては風薫る 

いきいきとカーテン。

邯鄲やほどよく月の上り来て 

ほどよく、に作者の心の余裕が。

秋風や飛ばされながら蟻走り 

頑張れ、頑張れ。

青空のざわめいてゐる枯葉かな 

空に地に、生命を感じて。

雛の灯を消して一日終りたる 

おそらく立子忌にも気がついている。

先生はいつもはるかや虚子忌来る 


先生は、ずっと先生。

お目にかかってみたかったなぁ。亡くなられたのが本当に淋しいです。

では、また。
ブログもぼちぼち続けられるように頑張ります。