昭和50.12.18講談社刊行
子規全集 第一巻


コロナウイルスの影響で遊びにも行けませんから、何かゴツいものを読もうと思い、4月28日から子規全集の俳句(1〜3巻)を読み進め、5月21日でやっと読み終わりました。2万句ぐらい(どこまで数えるかで5千句ぐらいの差がある)なら1週間もあれば読めると思っていたらなかなか…。稔典さん、キーン先生、宵曲や「生誕150年 正岡子規展」の図録などを毎日ぱらぱらぱらぱらめくりながら時間をかけて楽しんでいました。いつの日か使う、と思っていた古い雑誌等の資料も、本当にいつの日か使う日が来るから驚きます。

今回から正岡子規の俳句を、年代別に少しづつブログで紹介していきます。引用する際に新漢字に改めたものもありますから、気になる方はぜひ子規全集を開いて確認してみて下さいね。有名な句より、こんなのあるよ、という句も紹介出来たら嬉しいです。

『子規全集』より① 明治18〜25年

今日は明治18年〜25年(子規18歳から25歳)の句から引きます。

海原や何の苦もなく上る月

月「いやいやいや…」

蓮の葉にうまくのつたる蛙哉

ナイス。中七が可愛い。

あたゝかな雨がふるなり枯葎

初期代表句。穏やかな気持ちになります。あたたかな雨が良い。

鰻まつ間をいく崩れ雲の峯

40分ぐらい。骨煎餅とかをポリポリしながら。

埋火や隣の咄聞てゐる

ふーん感。

崑蒻ののびさうになる日永哉

自粛疲れ、ではない。

飼猫や思ひのたけを鳴あかし

中七がジワジワ面白い。猫にも色々ある。

若鮎の二手になりて上りけり

初期代表句。勢いが気持ち良い。

茗荷よりかしこさうなり茗荷の子

言われてみればなんとなく。茗荷の故事(もの忘れ)から来ていると考えるとちょっと理屈っぽくなるので知らないフリをして読んだ方が面白いかも。

よもすがら露ちる土の凹みけり

露も積もれば。

雪の日の隅田は青し都鳥

そして寒い。今でも感覚が鋭く姿が美しい。

初冬の何の句もなき一日かな

ぽかーんと、過ごす楽しさ。初冬の空気の澄み具合が良い。

君味噌くれ我納豆やらん冬こもり

電撃トレード。

鮭さげて女のはしる師走哉

すんごい忙しい。

一村は皆船頭や磯千鳥

海に生きる人達の村。好きな句。

なかなか穏やかな世の中になりませんが、みなさんどうか今日も明日も元気で。