高校生の頃
2月の寒い日に 飼っていた犬が死んだ。
わたしが小学生になったぐらいでうちにもらわれてきて
10年ぐらい一緒に過ごしたと思う。
オスのヨークシャーテリアで頭のいいいい子だった。
普段は勝気だけど、私や弟が母に叱られると側にきて
顔を覗き込んでくる優しい子で
散歩も1人で勝手に行く。( 今の時代的には飼い主としてマナー違反なんだけど。)オナモミをいっぱいつけて帰ってきて母に叱られていた。

彼が死んだ夜
夢の中で 死んでいく犬がそばに来て
ありがとう、とかそういうことを伝えてきて
夢の中なんだけど あぁ、今日死ぬんだなと思った。
目がさめると
階下から 母が泣いている声が聞こえてきて
ああ、さっきの夢はほんとうに 彼が 別れを言いに来たんだと思った。


すごく後悔しているのは彼が
調子が悪そうなのに病院に連れて行ってあげなかったこと。
調子が悪そうなのに、そばにいてあげなかったこと。
調子が悪そうなのに 暖房もないキッチンで夜1人にして眠らせていたこと。
死んでしまったあと、その姿を 一目も見なかったこと。


調子がわるそうな彼が
すごい速さで弱っていくのがいやで、
「死」が怖くて
つやのなくなっていく毛
カサカサの鼻や肉球
弱々しく水を飲む姿
嫌な感じがして 見たくなかった
死んでしまって どんなに変わってしまったのか
いろんな気持ちが渦巻いて 見れなかった。
母は死んだあの子をずっと抱いて
いつもの散歩道を歩いて 
しっかりと別れをしていた。


月日は流れて 彼のことも思い出すことがなくなってきた頃
夢にでてきた。
あー 久しぶりに あの子の夢をみたな と思って
彼を埋めた場所にいってみたら
嘘みたいに、 そこだけに1本 、彼岸花が咲いていた。


幽霊とか 信じないけど
「想い」とか 言葉や目にみえないなにかはあると思った。

彼への 後悔は
それまで 死を体験したことのなかった私に
大きな学びをくれたと思う。


最近彼のことを妙に 思い出す。
介護生活と関係あるのかな と思う。
今度は
後悔のないように
やれるだけは やろうと思う。