懐かしの国立を訪ねることができた。
昨年「新美の巨人たち」で旧国立駅舎をTVで見てから、この日を待ち侘びていた。
新緑の、いや深緑の大学通りを歩くと感慨深いものがあった。
若い頃、6年もの年月をこんなに素敵な街で過ごしたのに、あの頃の私は幼くて、
この街の成り立ちや豊かさに気づいていなかった…
歳を重ねると、身体は枯れて行くけれど、紆余曲折を経て、精神は反比例するのかもしれない。
歳をとるのも悪くない。
駅舎の復元のおかげか、駅前の景色は昔と大きく変わらない印象だ。有り難かった。
思い出が甦る。
私を妹のように可愛いがってくださった方のお宅には、夕暮れ5時にお邪魔する約束だった。(妹とは言え、13歳も離れていたとは、当時は知らなかった!)
時間があるので、ロージナ茶房でお茶をしてから伺うことにした。
この路地は本当に昔のままだ。
お店の中も時間が止まったかの様でそのままタイムスリップ出来る。
店を出て、彼女に電話をかけて、徐に歩き始める。ゆるゆると一橋大学前を通り過ぎ、マイナスイオンたっぷりの木陰の中を桐朋学園通りへと進んだ。
数分も経たぬうちに、向こうから小柄な顔見知りが歩いてくる。
「三千代さん!」と呼びかけると
「あら、◯◯ちゃん!
何年経ってもわかるものね〜!」
何十年もの時間を、直ぐに飛び越えられる不思議さは一体何なのだろう?
私は、国立の駅舎からその街並み、懐かしい人へと繋がる私の青春に会いにきたのだと気づいた。
私の昔の下宿先へも足を運んだ。
和歌山出身で、関西訛りのある可愛いおばさんは、すでに鬼籍に入られもうお会いできない。
表札は変わっていなかったが、昔の建物は新しく建て直されていた。
国立高校の前の歩道橋はそのままだ。
何と、私が利用していた電話ボックスがあった!
電話ボックス自体、見かけることは少なくなったというのに…
この電話から、十円玉を何枚も握りしめて実家に電話をかけたこと、Bフレンドにもかけたな…と思い出した。
彼はどうしているのだろう…
国立を訪れる前に、一昨年急逝した友人のご実家を訪ねた。
彼女のお位牌にお焼香をして、遺影に向かいようやくお別れができた。
ご実家は国分寺駅からバスで数分の小平市にある。
当時、私の通学経路だった国分寺駅の変わりようには失望してしまった。
私の青春はすっかり消えていた。
国立に一泊して、翌日は、三千代さんのお姉さんが入所された立川の施設へ伺った。
立川駅周辺は大都会へと変身し、昔の面影は全くない。
国立市は、景観保全の為に厳しい条令が定められていると聞く。
そのおかげで、こんなに幸せな気持ちになれたのだ。
駅舎と街並みは表裏一体!
日本各地の駅は、高架化が進んでいる。
自ずと周辺の景色は一変する。
そして思い出は消えて行く。





