iPad miniとNexus7を通して、AppleとGoogleの戦略を考える | What Life Is Like

iPad miniとNexus7を通して、AppleとGoogleの戦略を考える

先日、iPadの第4世代が到着した。
私にとっては初めてのタブレット端末になるわけだが、いろいろ弄り回してみた感じではあるが、なかなかのポテンシャルを秘めていることは実感できた。

さて、第4世代とともに発売された、iPad miniではあるが、第4世代のiPadと合わせて、初回分は完売、さらに3日で300万台を売り上げたという話である。
それに対し、Googleが発売しているフラッグシップ機、Google NexusのNexus7は、発売から徐々に販売台数を伸ばし、先月は1か月で100万台を売り上げたようだ。

加え、MicroSoftは最新OS、Windows8を発売し、タブレットマシンであるSurfaceを発売するなど、最近のタブレット市場は非常に熱い。

スマートフォンの分野でも、Appleは最新のiPhone5を発売、Androidは各通信キャリアで最新モデルを発表し、まだまだ熱の収まらない情勢が続いている。

そんな情勢の中、業界の二大巨頭ともいえるAppleとGoogleは、一体どこを目指しているのか。
頭の中を整理するついでに、徒然なるままに書きつづっていこうと思う。

さて、まずはAppleサイドから考えてみる。
そもそも、この大きな流れの先導者はAppleであるといって、もはやそれを否定する人はいないであろう。
初めは誰にも見向きもされないと思われていた、iPhoneがあそこまで爆発的にヒットすると確信していた人はごくわずかであったかもしれないが、今ではこのムーブメントは覆しようのないものになっている。

iPhoneユーザの特徴ともいえるのが、iPhoneを持っている人の何割かは「スマートフォンが欲しい人」ではなく、「Apple製品が欲しい人」であろう。
それを支えているのが、Appleの持つ高いデザイン性と、使いやすいインターフェイスにあるだろう。
思わず自慢したくなるような見栄えのよさや、説明書を読まなくても使いだせる使いやすさが多くの人々の心をつかんで離さないというのも、頷ける。

さらに、業界の先端を行っているだけはあって、技術開発には余念がない。
2012年度には34億ドルを研究開発に費やすなど、その費用は年々増加しており、その研究開発によってハードからソフトまで様々なグレードアップを果たしている。
とはいうものの、iPhoneのスペック自体は、ハイスペックを売りにするAndroidマシンと比較すると、ある程度凡庸になっているのは否めない。
しかし、多くのユーザーを確保するその人心掌握術は、舌を巻くものがある。

対して、Googleサイドの話である。
Googleが売りにするスマートフォンOS、Androidの特徴を一言でいえば多様性である。

PCのOSでいえばLinuxがそれにあたるが、ソースコードを開示し、多くのメーカーに競争させ開発させることにより、多様性を内包しながら、Androidは成長を続けている。
それ故に、Androidは各メーカーが発売するスマートフォン上に搭載することが可能であり、その多様性を武器にAppleに宣戦布告をしているわけである。

多くのメーカーが開発しているAndroidではあるが、メインで開発を行っているのは勿論Googleである。
そのGoogleが開発する最新OSの提供を優先的に受けられるのが、Nexusシリーズである。
ハード制作はASUSで行っている、いうならばOEM製品であるが、多くの人々の支持を受けて成長を続けている。

そんな、AppleとGoogleの両社であるが、発表情報を鑑みると、どちらも最終目標として据えているものは同じように考えられる。

Appleの売りは、先ほど述べたように高いデザイン性と使いやすさ、それはいうならばハードとソフトの一体化した開発にあるといえる。
一方、Googleの売りは、検索サービスに裏打ちされたWebサービスに関する経験値の高さである。

このように全く色の違う両社であるが、同一の目的を掲げていると私は思う。

その目標とは、簡単に言えば現状あるPCのサービスをネット上で負担し、ユーザは今使っている簡易デバイスを持つだけに済ますというものである。

今となっては全く聞かなくなった言葉に「ユビキタスネットワーク」というものがある。
これは、「いつでも」「どこでも」「だれでも」ネットワーク接続ができる環境を指すものであるが、これはスマートフォンの台頭によって概ね実現されている。
この実現によって、Webサービスの重要性は跳ね上がった。
要は、ネットワークにアクセスする人口が増大したため、サービスの市場が早急に整備される必要性ができたのである。

このサービスの中で、多くの人が使用しているサービスにクラウドコンピューティングが存在する。
iCloud、SkyDrive、Dropbox、GoogleDrive、SyncSugarなど多くの企業が提供しているクラウドは、要はデータをネットワーク上に保存しているのである。
PCのHDDを実家とすれば、クラウドは出張用に借りているアパートの一室という感じである。
スマートフォンやタブレットには、SDカードを除いて内臓フラッシュメモリの購入後の拡張性は皆無であり、ある意味でこういったサービスは必須であるともいえる。
この一方で、クラウドサービスの台頭とともに、ライトなPCユーザーはこういったスマホやタブレット端末に流れるという流れが発生するだろう。

これに加え、Google、Appleの両社が共通して行っているものに「ノートPC用のOS開発」がある。
Appleの場合はMac bookに搭載されている「OS X」があり、Googleの場合は検索用ブラウザをベースにした「Chrome OS」が搭載されたノートPCが発売されている。
このようなOSの開発には、背面を考えれば明確な意図がある。
それは「スマホやタブレット端末用OSとの統合OSの開発」である。

iOSはそもそもがOS Xをベースにしていることを知っている人は多いであろうが、近い将来、2つのOSが統合される可能性は否定できない。
統合OSが開発された場合、単一OSを使用して多くのデバイスを使用することができるわけである。
ちなみにこれを現状で体現しているのが、MicroSoftである。

そのMicroSoftも、タブレットのハード開発を手掛けたりしようとするなど、スマホ・タブレット業界は、デバイスという「ハード」、OSという「ソフト」、さらには「Webサービス」の3つを統合した、単一のOSで多くのハードを動かし、現状PCで行っていることの多くを、代替できるWebサービスの開発に傾倒しているわけである。
このムーブメントの行き着く先は、つまりはハードユーザー用にはPC、その他のユーザーはスマホ・タブレットという極端な二極化を進めるだろう。
それの善悪はさておくとして、今後の展開にますます興味がわいているのもまた事実である。