「薫はかなり強引じゃなあ、今回は」

「どなた譲りか知りませんが匂宮の不埒な行為に

中の君の例もありますので早めに手を打った」

 

「なるほど。薫はどこか間が抜けておるからなあ。

うまくいけばいいが・・・・・」

 

天空の二人は心配顔で地上を見つめておられます。

 

そうしたある日薫の君から中の君へののお手紙を

匂宮は見つけてしまいます。その中身で薫の君が

姫をかくまっていることがわかってしまいます。

 

何とかして会いたい。どうしても会いたい確かめたい。

と匂宮はいてもたってもいられずにお忍びで薫の君

のふりをして姫の寝所に侵入します。

 

姫は人違いだとは分かりましたがその手慣れた愛撫に

女の喜びが目覚め、もう匂宮のとりこになってします。

 

「ああ、無常。どうする柏木?」

「ええ、罪作りなあなたの血筋であられます」

天空で二人は後の悲劇の予感に、姫浮舟を憐れみます。

 

また日を改めてと宮は後ろ髪を引かれる思いで京に戻ります。

さあどうしたものか?薫の君も匂宮も京に姫を住まわすべく

急いで住居を準備しようとなさいます。

 

そうした二月の半ば宮中で詩を作る会が催され、お二人は参加

されます。薫の君の詩が宇治を偲ぶ内容だったのに気づかれた

匂宮は次の日雪の舞う中を馬で宇治へと駆けられました。

 

文はありましたがまさかこの雪の中ではと思っていたところへ、

泥だらけの格好で駆け付けた匂う宮、息を切らせ体からは湯気が

立っていました。情熱的な宮の御心に姫は身も心も宮のもとへ。