その頃帝は女二宮を薫の君にとお思いでした。そうなると、

夕霧の右大臣も六の君を匂宮へ早く嫁がせようとせかされます。

 

六の君が正室となるともう中の君べったりとはいきません。

薫の君も宮様をお貰いになると、ご後見としてこちらを見捨てる

ことはないにしても、そちらが中心になるでしょう。

 

それ見たことかと、姉君が最も恐れていたことが起きそうな

不安に陥る中の君でした。それを薄々感じている薫の君は、

 

かえすがえすも大君の言うことを聞いて中の君と結婚して

おけばよかったのにと今更ながら後悔します。

 

そして実際夕霧右大臣の六の君がお輿入れになりました。

例によって匂宮はまんざらでもありません。

夕霧邸の監視は厳しくなかなか抜け出せません。

 

一人ぼっちの中の君は何とかして宇治にこっそり帰ってしまおうか

とお思いになって薫の君にお手紙を出されました。