パーソナリティ障害に関する記録③
先日の
を元に掘り下げ。
■誰にでもパーソナリティの偏りはある。障害と個性の違いは「どれくらい偏っているか」ではなく「どれくらい困っているか」である
パーソナリティ障害の要因は何か
■パーソナリティは生まれて間もない赤ちゃんの時期から育まれる。親との関係は、安心感の育ちに大きな影響を与える。
- 赤子のころから受け入れてもらえる「心地よさ」を学んでいる
- 自分の気持ちを言葉で伝えられないが、周囲の人が赤ちゃんの気持ちを察し欲求を満たすことで、共感してもらえるという「大丈夫感」が育つ
- 「大丈夫感」が育つことにより、戻る場所があるから大丈夫、という安心感が生まれる。よって、育つにつれて親から離れて行動できるようになっていく。
■幼児期から児童期は、親や周囲の大人は「力」があり、見本を示す絶対的存在。しつけや経験を通じ社会のルールを身に着けていく。思春期には大人も「絶対ではない」と感じるようになる。失敗や挫折を繰り返し、しっかりとした自分「等身大の自分」が育つ。
■他人と同じならよしとする風潮や、みんなと同じでないと不安を感じたりすることは、安心感や、大丈夫感を損なう要因になる。
■効率を重視し、皆が他人より少しでも上に立つことを目指す度を越した競争社会は、自己愛性パーソナリティ障害の要因とも考えられている。
■父親があまり子供と関わらなかったり、子供への関わり方に偏りがある家庭での場合、母親と子供が共依存しやすい。
- 母親が自分で達成できなかった不満や目標を子供に投影し、自分の子供が人より優れていることを求めることで、子供の自己愛性パーソナリティ障害へつながる可能性
- 子供が縋り付いてきたら愛し、自立しそうになると冷淡になる未熟さが母親にある場合、子供の境界性パーソナリティー障害へつながる可能性
発達障害との関係
■パーソナリティー障害には、発達障害が隠れているケースが多いといわれている。発達障害あると、「大丈夫感」が育ちにくく、パーソナリティの根幹が不安定になるため。
発達障害がある人が皆パーソナリティ障害になるわけではないが、発達障害はパーソナリティ障害のリスクファクター(危険因子)になりうる。また、親にも発達障害があるケースが少なくない。その場合、子どもの特徴に気づきにくく発達障害への対応が遅れがち。子どもへの共感性が低く、ネグレクトにつながることもある。
■自閉スペクトラム症(ASD)の場合
- 個人差があるがその時の状況や流れから「相手の気持ち」「その場の雰囲気」を推察するのが苦手
- 赤ちゃんの時からあやしても反応が薄い、一人遊びを好むなど親との愛着関係ができにくくなる
- 人から愛されたい気持ちはあっても関わるのが苦手なため常に満たされない思いを抱えることになりがち
- 傍若無人と誤解されるが、自らそうしているわけではない。人から愛されたい気持ち、満たされない気持ちを抱えている。
【ほかのパーソナリティ障害との合併するケースもある】
- 自分の気持ちを言葉にできない
- 衝動的な行動を抑えられない
- 対人関係をつくることが困難
- 状況の意味を読み取れない
- 愛情を求める気持ちはあるが言葉や態度に出せず人間関係の作り方がわからない。
- 友達ができず孤立しがち
⇒親と傷つけあう関係になってしまう。境界性パーソナリティ障害と、自閉スペクトラム症が合併。
- 特殊な能力がある(見たままを記憶、物語より図鑑を好むなどの特徴も。親の期待になりがち)
- 周囲と馴染めない
- 親に甘えず自尊心だけが育つ
- 持続的に挫折感を持っている
⇒親に賞賛される自分と無能な自分ができる。自己愛性パーソナリティ障害と、自閉スペクトラム症が合併。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の場合
ADHDは不注意・落ち着きがない、突然突飛な行動を取る衝動性を特徴とする発達障害。
周囲の大人に叱られることが増えるが、子供には悪気がないため、なぜ叱られるかがわからない。
こどもはしつけを愛情ではなく自分への否定ととらえ、愛されてないと感じがち。
そのうち自分はダメだという気持ちが強くなり、受け入れてもらっているという大丈夫感・安心感が十分に育たなくなることにより、パーソナリティ障害へ結びつく。
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(参考書)パーソナリティ障害 正しい知識と治し方
監修 市橋秀夫