貴方の「ハイオク」は、本物の「ハイオク」か? | ヤサグレもんの戯言

貴方の「ハイオク」は、本物の「ハイオク」か?

⬛️貴方の「ハイオク」は、本物の「ハイオク」か?

 どうも、「ハイオク」と思って買っている「ハイオク」が、「ハイオク」ではないらしい事が判明した。

 事の発端は、石油元売り3位のコスモ石油がハイオクガソリン『スーパーマグナム』の性能について、少なくとも10年以上、『使い続ける程エンジンを綺麗にしてくれる』等と虚偽宣伝していた問題が発覚した事にある。

 良く、外車の場合、ハイオク以外のガソリンを入れると壊れるとか、ハイオクを一度入れた車は、ずっとハイオクでないと不具合が出るとの「噂」があったが、それは「神話」だったのか?

   だからこそ、「ハイオク」ユーザーは、高いお金を払い「ハイオク」を購入し続けていた筈だ。

ハイオク、レギュラーの区別はオクタン価によって決まる

 ガソリンにはハイオクとレギュラーの2種類があるが、その区別はオクタン価によって決定。純粋なガソリンは自然発火しやすく、自動車の燃料に使用するとノッキング現象という異常燃焼を起こし、エンジンに不自然な動きや振動を起こす。こうした現象を起こさない為に、自動車の燃料となるガソリンには添加物が加えられ、異常燃焼を起こさない様工夫されている。オクタン価とは異常燃焼の起こしにくさを示す値の事で、オクタン価が高ければ高い程そのガソリンは異常燃焼を起こしにくくなる。そしてこのオクタン価の数値によってハイオクかレギュラーかの区別がされる。

ハイオクとレギュラーのオクタン価比較


レギュラー車にハイオクを入れたらどうなる?


 ハイオクかレギュラーかは車種によって指定されているが、万が一異なるガソリンを入れてしまったらどうなるのか?

 レギュラー車にハイオクを入れた場合、レギュラーを入れた場合と何ら変わらず、ただ単にレギュラーとの差額分のコストがかかるだけ。

 一方、ハイオク専用車にレギュラーを入れる事はリスクが伴うとされている。レギュラーはハイオクに比べてオクタン価が低い為ノッキング現象を起こしやすくなり、エンジンの故障等を起こしやすくなる。ハイオク専用車にはハイオクを、レギュラー専用車にはレギュラーを使用する事をお薦めとあるが、下記にある『ハイオク虚偽宣伝』の記事を読むと?マークが付くのである。

⬛️割高な「ハイオク」は混合物だったガソリンスタンドと石油元売りがひた隠す虚偽商法

コスモ石油公式サイトより


 「ハイオク」を巡る不可思議な業界慣習が浮き彫りになりつつある。毎日新聞は今月20日、記事『ハイオク虚偽宣伝 消費者庁がコスモ石油を調査 景品表示法違反の疑い』で次の様に報じた。


「石油元売り3位のコスモ石油がハイオクガソリン『スーパーマグナム』の性能について、少なくとも10年以上、『使い続ける程エンジンを綺麗にしてくれる』等と虚偽宣伝していた問題で、消費者庁が景品表示法違反(優良誤認)の疑いで調査に着手。関係者が明らかにした。同庁は調査を通告し、宣伝の根拠となった資料の提出等を求めているとみられる」


 同記事では、スーパーマグナムが1992年の販売開始以来、汚れを取り除く添加剤が入っていないのに「清掃剤が添加されている」「エンジン内を綺麗にしてくれる」等とホームページ上で宣伝していたと指摘。事実なら、レギュラーより割高な同商品をあえて選んで給油していたユーザーは到底納得できない話。


貯蔵タンクで他社製ハイオクを混合?


 だが、ハイオクを巡る問題はコスモだけではない。コスモ、エネオス、出光・昭和シェル、キグナス石油、太陽石油の大手5社のハイオクについて、毎日新聞は627日、記事『ハイオクガソリン、実は混合 独自開発の筈が…20年前から各地で』とスクープ。同記事を引用する。


「石油元売り5社がオリジナルブランドで販売し、業界団体が『各社が独自技術で開発した』と説明していたハイオクガソリンが、スタンドに出荷する前段階で他社製と混合されている事が毎日新聞の取材で判明。物流コスト削減を目的に貯蔵タンクを他社と共同利用する様になった為だが、各社は公表していない。複数の関係者は『混合出荷』は約20年前から各地で行われていると証言する。高級ガソリンのハイオクは各社の独自製品と認識して購入する消費者も多く、情報開示のあり方が問われる」


 石油元売り各社は独自ブランドとして「スーパーマグナム」「出光スーパーゼアス」「α‐100」等、様々な銘柄を売り出し。一体これはどういう事なのか。


「各社とも品質は横並びだから混合でも問題ない」


 宮城県仙台市のガソリンスタンド(GS)経営者は、以前からハイオクの混合があった事を認めた上で次の様に話す。


「低燃費車が増えた事や、自動車ユーザーの絶対数が減っており、ガソリンの売上が減っている。更にリーマンショックや東日本大震災等の不況の影響が業界を追撃。そうした中で元売りは貯蔵タンクや物流の相互相乗り等でコスト削減を図ってきた。


 一方、GS側も地下タンクの設備更新等も経営の重荷になっている。仙台の様な地方の中核都市では幹線道路に競合他社のGSが立ち並び、熾烈な価格競争が行われてきた。毎朝、従業員を走らせて他のスタンドの値段を偵察に行き、うちのGSだけが高値になっていないかチェック。そんなダンピング合戦で体力を削られ続け、廃業する同業者の数は鰻登り。


 レギュラーに関していえば、売上の最前線を担っているGSの絶対数が減っている事から、元売り系列のGSだけでは在庫をさばききれないという実情がある。その半面、『ライフラインを維持しろ』という政府の要請もあり、各社の製油所では実需要より多めに生産し、一層、ガソリン余りに拍車がかかっている。


 その為、業界で言うところの業転玉(製油所で余ったガソリンを、異なる元売り会社の系列スタンドが購入したり、系列に属さない独立系のガソリンスタンドが仕入れたりする事で、系列店より安い価格で販売する)も増えている。


 一方でハイオクは売上の1割以下で、余り利益にならない。うちへの配送前に貯蔵タンクで他社のハイオクが混合されている事は知らされていたが、元売りの担当者は『混合しても基本的に各社横並びの性能なので、品質に全く問題はない』と説明していた。


 ただ、今回のコスモ石油スーパーマグナムの件の様に一部製品の品質が異なっていたとなると話は別」


 石油元売りの統廃合が進み、業界は寡占状態が続く。ガソリンの安定供給は必要だが、消費者を騙す様な説明があったのなら問題。業界のあり方にメスを入れる時期が来ている。

(文=編集部)